阪神は攻撃の時間に比べて、守備の時間がどれほど長かったことか。20日、本拠地甲子園で行われた巨人戦。5回6失点で降板した藤浪の球数は120球に達した。9安打6四球でピンチの連続。ストライクに窮する右腕の姿に、金本監督は「悪いところが出た。見ての通りですよ」と言葉を吐き捨てた。


 一回にいきなり先頭の坂本勇を四球で出したのが、つまずきの始まり。「四球でリズムを悪くしてしまった」と藤浪。相手にバントの構えをされると、制球を乱す場面も目立った。フォームにも迷いがあるのか、投球の合間に弓を引くような動作を何度も繰り返す。「クイックは良かったけど、足を上げたときに…」と首をかしげた。


 5回で10三振を奪う球威がありながら、無駄な四球で自滅するのは昨季から何度も繰り返されてきた光景だ。野手もリズムを乱して守備でも緩慢なプレーが目立ち、甲子園のスタンドのファンからはやじが乱れ飛んだ。


 チームの連勝は3でストップ。藤浪自身に黒星がついたのは今季初めてだが、先発した4試合はすべてチームは敗れ、波に乗れない要因にもなっている。次の登板について問われた指揮官は「どうだろうね。これから考えます」と一言。開幕から1カ月を待たずに、背番号19は厳しい立場に追い込まれてきた。(丸山和郎)