私の好きな女優 田中麗奈(たなか・れな)さん

毎日新聞

 小さな頃からテレビでドラマを見ることが好きで、小学校に入る前から、将来は「女優さん」になろうと考えていました。当時は中山美穂さんのドラマが人気。誰もが女優に憧れるような年ごろですが、それでも私はどこか「絶対になる」という大きな気持ちを抱いていたと思います。


 小学生になると、ドラマを見た後、ノートに1話分のセリフを書き出して覚え、休み時間に友達と役を決めて演じるようになりました。ラジオのMC(司会者)になりきったこともありました。いわゆる「ごっこ遊び」。実は今もドラマを見て出演者のまねをすることがあります。癖みたいですね。


 小学生の頃は女の子だけだったのですが、中学生になると、男の子まで巻き込んでコントをするようになりました。休み時間に「発表会」をすることもあったし、今考えると、よく付き合ってくれたなと笑ってしまいます。さすがに進級すると、友達と「(この年になってごっこ遊びをしているのは)ちょっとやばいよね」みたいな話になってやめました。


 勉強は国語が好きでした。マンガを描いたり、小説を書いたりしたこともありました。その延長線上なのか、仕事でお芝居をする時は演じる役になりきり、ノートにその人物の気持ちをダーッと書きなぐります。台本にないけれど、この人ならばこのように考えるだろうな、と生き方までイメージします。登場人物の相関図を作ることもあります。


 でも、正直に言うと、学校での勉強は好きではありませんでした。当時は何の役に立つのか疑問でしたし、「早く働きたい」という気持ちが強かった。衣料関係の仕事をしていた母を見て「働く女性」の姿に憧れていたからです。将来を考え始めた時期は周りよりも早かったと思います。


 今は、学校でもっと勉強をしていたら、という思いもあります。大人になると、勉強の時間はわざわざ作らないといけませんよね。でも、学校なら「体育」のように体を動かす時間、「美術」や「音楽」のようにすてきな作品に触れられる時間がバランスよく用意されています。貴重な経験ができる場所です。【聞き手・水戸健一、写真・丸山博】


 ■人物略歴

 1980年、福岡県久留米市生まれ。2017年の第72回毎日映画コンクールで女優助演賞。27日公開の映画「祈りの幕が下りる時」、3月3日公開の映画「おもてなし」に出演する。