政治: 能天気の前原 すっかり小池に だまされる


時事通信

 希望の党への合流を決めた民進党内で、リベラル系勢力を中心に新党を目指す動きが広がってきた。希望が憲法改正や安全保障関連法への賛成を「踏み絵」にしてリベラル系を排除する姿勢を鮮明にしたことへの反発が要因だ。新党が結成されれば、安保法反対を軸に共産、社民両党と野党共闘を再構築する見通し。自民、希望両党の対決と目された衆院選は三つどもえとなり、情勢は混とんとしそうだ。


 「両院議員総会の決定と違うなら、それぞれ身の振り方を考えなければならないという声も多々寄せられている」。民進党枝野幸男代表代行は1日、衆院議員会館の自室に急きょ記者団を招き、希望との合流方針をトップダウンで決めた前原誠司代表への不信感をあらわにした。総会で前原氏が候補者全員の合流を目指す考えを示していたにもかかわらず、希望が排除の論理を振りかざしているためだ。
 小池氏は、憲法観や安保政策が一致しない候補を「排除する」と明言。側近で自民党出身の若狭勝衆院議員や、民進党時代に代表代行などを務めて内実を知る細野豪志環境相らと選別を進めているとされる。
 小池氏は1日、東京都内で記者団に「(政策の一致が前提と)当初から言っている」と強調。民進党側の混乱に関しては「(党内の)コミュニケーションの問題ではないか」と冷ややかに語った。


 一方、リベラル系候補には、自民、希望の「保守対決」の構図の下で行き場を失い、安保法や憲法9条改正に反対する有権者の選択肢が狭まってしまうとの懸念があった。リベラル系新党が誕生すれば、野党共闘の枠組み復活が見込まれ、政権批判票の一定の受け皿となるのは確実だ。
 共産党関係者は「待ち望んだ展開だ」と、新党との共闘を期待。社民党又市征治幹事長はNHK番組で「一緒に戦おう」と呼び掛けた。(2017/10/01-22:09)


毎日新聞

 民進党は30日、各都道府県連の幹部を集めた会議を党本部で開いた。希望の党小池百合子代表(東京都知事)の民進党出身者を選別する方針への反発が相次ぎ、「民進党公認の道を開くべきではないか」(北海道連)との意見も出た。希望の党への不参加を表明する民進党衆院議員も続出している。全員合流は困難な情勢で、民進党の一部が残留し、分裂するのは避けられない見通しとなった。


会議では28人が発言し、2時間の予定が3時間半に延びた。前原誠司代表は「民進党独自で乗り越えられるならば、こうした選択肢はなかった」と合流に理解を求めた。しかし参加者からは「憲法と安全保障法制が踏み絵になって候補が選別される」(三重県連)など疑問の声が続いた。


 前原氏は選別を巡る希望の党側の発言について小池氏に抗議したとしたうえで、「小池氏とは対等の立場で話しており、全員を公認候補にしたいと申し出ている。一両日中に方向性を示したい」と説明。両党の合意がない限り、一方的に排除されることはないと強調した。


 前原氏の説明にもかかわらず、県連幹部から「結局全員は行けない」との懸念が出るのは、希望の党が着々と選別を進めているからだ。


 希望の党若狭勝衆院議員は30日、記者団に10月2日にも50人強の第1次公認を発表するとし、内定者に連絡したと明らかにした。第1次公認には民進党前職は含まれず、民進党前職の選挙区にも希望の党の独自候補が内定していると述べた。


 このため、民進党内では合流に見切りをつけ、無所属出馬や分党・新党結成など、前原執行部とは別の道を探る動きが加速している。


 辻元清美幹事長代行(大阪10区)は党本部で記者団に、「私はリベラルの力の重要性を信じている。だから(希望の党には)行かない」と述べ、無所属で立候補する意向を表明。赤松広隆元農相(愛知5区)は名古屋市内で記者団に「もう一つの新しい政党も選択肢の一つ」と語り、新党結成の可能性を示唆した。神奈川12区から出馬を予定している阿部知子副代表も街頭演説で「(希望の党とは)組めない」と語った。


 連合の神津里季生(こうづ・りきお)会長は30日、党本部で前原氏と会い、合流希望者全員が公認を得られるようにすべきだと伝えた。会談後、記者団に小池氏の選別方針について「おかしい。できるだけみんなが行くことが望ましい」と不快感を示した。【光田宗義、松本晃、山衛守剛】