阪神: 鳥谷がんばれ!

「中日0−5阪神」(28日、ナゴヤドーム

 名古屋の地でこだまする“鳥谷コール”。左翼席の虎党からあふれんばかりの大歓声がわき起こった。八回の守備に就いた阪神・鳥谷は、くるりと振り返って帽子を取り、深々と一礼した。


 11安打と猛虎打線が爆発したこの日、ダメ押しの1点を刻んだ八回が、背番号1の最大の見せ場だった。1死一、二塁の好機。1球目は高めに抜けた150キロ、2球目は139キロのスライダー、そして3球目だった。内角にきた149キロの直球をはじき返すと、打球は右翼線ギリギリを勢いよく抜けた。二塁から大山が悠々と生還。6日・DeNA戦以来のタイムリーで後半戦初打点をマークした。


 四回にも中前打を放ち、17日・広島戦以来、9試合ぶりのマルチ安打。通算2000安打まで、残り41本とした。夏場の厳しい時期にも調子を落とすことなく、着実に歩みを進めている。
 それでも振り返ったのはあの場面だった。「初回に打てれば一番よかったんですけど…」。2死満塁の先制機。最高の場面で第1打席が回ったが、結果は遊ゴロ。先手を取ることができなかった。
 チームが勝ってもベテランに慢心はない。好機での凡退を悔やむその姿勢が、さらに虎を、鳥谷を強くする。