政治: 自民党の丁寧な説明とは こんなもの?

毎日新聞社説 『前川氏が国会で初証言 やはり首相出席が必要だ』

 疑問は何ら解消されなかったと言っていいだろう。引き続き国会での解明が不可欠だ。


 安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計学園」の獣医学部新設問題について、きのう衆参両院で閉会中審査が行われた。


 前川喜平・前文部科学事務次官がこの日、参考人として初めて出席したことで、問題点が改めて整理されたことだけは確かだろう。


 「はじめから加計学園に決まるようにプロセスが進んだように見える。不合理な意思決定だった」


 前川氏は今回の背景に首相官邸の動きがあったと明言し、萩生田光一官房副長官が関与していたことを示す昨年10月7日付の文科省文書も「次官在職中に受け取った」と存在を認めた。文科省が「存在が確認できなかった」と説明している文書だ。前川氏が改めて国会で証言した意味は大きい。


 これに対し、萩生田氏は当日、文科省側と面会した点は認めたが、官邸の関与を示す発言をしたかどうかは「記憶はない」とかわした。


 つまり政府側は首相の意向が働いたかどうかという問題の核心について明確な根拠を示さずに否定し、追加の調査も拒み続けたのである。


 野党が材料不足で、それ以上追及できなかった面は否めない。だが、今後もこうした質疑が続くのであれば、虚偽の証言は偽証罪に問われる証人喚問を検討するほかない。


 答弁では山本幸三地方創生担当相が長々とメモを読み続ける場面もあった。しかも極めて早口で、山本氏が何を語っているのか理解できた人はほとんどいないだろう。


 安倍首相は加計問題への対応が「国民の不信を招いた」と認め、「今後も分かりやすく説明していく」と約束していたはずだ。山本氏は、そもそも国民に理解してもらおうという気がないのではないかと疑う。


 外遊を理由に自民党が首相の出席を拒否した閉会中審査だ。前川氏が「中心人物」と言う和泉洋人首相補佐官らの出席も自民党は拒んだ。

 早急に首相らが出席したうえで再度質疑する必要がある。不透明な手続きだけではない。「速やかに獣医学部の全国展開を」と突如言い出した発言の真意を含め、首相に聞きたいことは山ほどある。







将棋世界 2017年8月号

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