事件 『福岡県小郡市・母子3人殺害事件』つづき

 なにか悲しい事件です。被害者の方のご冥福をお祈りいたします。


スポニチ

 福岡県小郡市の住宅で中田由紀子さん(38)と子供2人が殺害された事件で、県警は8日、由紀子さんに対する殺人容疑で、夫で県警通信指令課に所属する巡査部長の充容疑者(38)を逮捕した。「そのようなことはしていません」と容疑を否認している。


 逮捕容疑は、6日午前0時ごろから同6時ごろにかけて自宅で由紀子さんの首を絞め、殺害した疑い。県警が遺体の爪から充容疑者の微物を検出、逮捕に踏み切った。由紀子さんが殺害の際に抵抗し、ひっかいた可能性が高いとみている。充容疑者以外の人物の関与はなかったとしている。


 当初、子供2人の首にひもで絞めたような痕があったとする一方、由紀子さんの首に圧迫痕はないとみて無理心中と見立てていた。だが司法解剖で由紀子さんの首から皮下出血が見つかり、圧迫されて窒息死した疑いがあると判明。急転、殺人事件と断定し捜査本部を設置した。由紀子さんの遺体が見つかった1階台所には燃えた跡のある練炭のようなものがあり、無理心中の偽装が疑われていた。一方で台所は目張りがされず、十分な偽装をする余裕はなかったとみられる。


 充容疑者は事件発覚直後、5日の夜は母子3人と同じ部屋で寝て、翌6日午前6時45分ごろに出勤した際も3人は眠っていたと説明。子供2人は同午前5時ごろまでに死亡したと判明し、食い違いを県警が調べていた。同9時20分ごろ、近くに住む由紀子さんの姉が訪れ充容疑者に電話で報告当時勤務中だった充容疑者は110番扱いとした。県警は当初、姉から「妹が自殺している」との110番だったと説明していた。


毎日新聞

 福岡県小郡市の民家で母子3人の遺体が見つかった事件で県警は当初、無理心中の疑いがあるとみて捜査を始めた。その後、母親の首の骨にひびが見つかるなどして他殺の疑いが高まり、一転して殺人事件と断定するなど捜査は混乱した。


 県警が「変死容疑事案の発生」として、中田由紀子さん(38)ら母子3人の死亡を広報したのは6日午後1時半。由紀子さんの自宅を訪れた姉が3人の遺体を見つけて既に約4時間が経過していた。


 その際、県警捜査1課と小郡署は報道陣の取材に「由紀子さんによる無理心中の可能性がある」と説明していた。しかし、6日深夜〜翌7日未明に司法解剖の結果が明らかになり、由紀子さんの首に絞められた形跡があることが判明した。


 これを受け県警は7日午前3時、小郡署に捜査本部を設置したと公表。これまでの「無理心中」との見通しを「殺人事件」と軌道修正したのは、3人の遺体が発見されてから約18時間後のことだった。


 なぜ事件の“筋読み”がぶれたのか。捜査1課によると、由紀子さんに目立った外傷はなかった上に、逮捕された夫の中田充(みつる)容疑者(38)が「妻は育児に悩んでいた」と説明。さらに由紀子さんの遺体の近くには練炭のようなものが置かれていた。捜査幹部は「他殺だとすぐに分かる現場ではなかった。取材には無理心中と殺人の両方の見通しを説明したつもりだ」と話す。


 ジャーナリストの大谷昭宏さんは「初動で見込み違いがあったことは間違いない。『警察官がまさか』という思いが目を曇らせたのではないか。もし第三者が関与していれば初動のミスが捜査の大きな遅れにつながるはずだ」と指摘した。【吉住遊、中村敦茂】