科学 H2Aロケット34号機打ち上げ成功 「みちびき」が軌道に

 スマートフォンやカーナビなどで利用されている、位置情報システムの性能を飛躍的に高める、日本版GPS衛星の「みちびき」が、1日午前9時17分、鹿児島県の種子島宇宙センターからH2Aロケットの34号機で打ち上げられ、打ち上げは成功しました。「みちびき」は、年内にさらに2機が打ち上げられ、来年春にも実用化する予定です。


 日本版GPS衛星の「みちびき」を載せたH2Aロケットの34号機は、1日午前9時17分、鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられ、2本の補助ロケットやロケットの1段目を切り離しながら上昇を続けました。


 そして、打ち上げのおよそ29分後、午前9時46分ごろに、「みちびき」を予定どおり、高度275キロ付近で切り離し、打ち上げは成功しました。


 日本版GPS衛星の「みちびき」は、アメリカのGPSと同じように、スマートフォンなどの携帯端末で位置情報を得られる衛星で、1つの機体が1日あたり8時間程度、日本付近の上空にとどまる特殊な軌道を飛行します。


 「みちびき」は、今回も含めて、ことし中に合わせて3機が打ち上げられる計画で、7年前に試験的に打ち上げられた1機と合わせて4機体制が整えば、常に1機以上が日本付近の上空を飛行するようになり、来年の春以降、実用的に使えるようになります。


 アメリカのGPS衛星が、誤差がおよそ10メートルあるのに対し、GPS衛星と「みちびき」を組み合わせて利用すれば、誤差はわずか数センチ程度となり、位置情報システムの性能を飛躍的に高めることになります。


 このため産業界では、農業機械や建設機械の自動運転や、ドローンによる自動での物資輸送、それに歩行者用のナビゲーションシステムなど、社会や暮らしを変える新たな技術の開発につながると期待されています。