沖縄 「反基地」を示す 県会議員選挙


毎日新聞 『基地移設反対派が大勝…知事与党上積み

 沖縄県議選(定数48)が5日投開票され、米軍普天間飛行場(宜野湾(ぎのわん)市)の名護市辺野古への県内移設に反対する翁長雄志(おなが・たけし)知事を支える共産や社民などの県政与党が過半数を維持した。改選前より4議席多い27人が当選を確実にした。米軍属が逮捕された女性遺体遺棄事件の発生直後の選挙戦となり、県民の高まる反基地感情を反映し、米軍基地所在の選挙区で着実に議席を獲得した。翁長知事が引き続き政府との対決姿勢を強めるのは必至で、移設計画に大きな影響を与えそうだ。


 知事の県政与党が勝利した県議選の結果について、那覇市で記者団に対して、翁長知事は「大勝利と考えている。日本国土の0.6%の沖縄に、74%の米軍専用施設を置いてきたことで、連続して事件事故が起きた。『沖縄に米軍基地が集中する状況がなくならない限り、だめだ』という県民の思いが今回のような選挙の結果になった」と述べた。


 議長を除いて改選前に欠員2だった県議会は県政与党が23議席過半数を占めており、今回13選挙区に71人が立候補した。内訳は与党系37人、自民など野党系22人、公明、おおさか維新など中立系12人(中立系とみられていた1人が告示後、与党系の立場を表明)。無投票だった名護市(定数2)は与野党系が1人ずつ当選した。公明は国政とのねじれで県本部は辺野古移設に反対している。公明の議席を加えると移設反対の勢力はさらに多くなる。


 沖縄では今年1月の宜野湾市長選で、安倍政権の支援を受けた現職が、翁長知事が事実上擁立した新人に圧勝しており、知事の与党系は今回「連敗」を回避した。参院選(6月22日公示)沖縄選挙区も移設を進める自民が公認する現職と、移設反対の翁長知事を支えるグループが推す無所属新人との事実上の一騎打ちになる見通しで、反対派には追い風となりそうだ。


 県政与党は移設反対の民意を改めて示すため、過半数獲得に全力を挙げた。政府は選挙期間中に犯罪抑止策をまとめ、4日には日米防衛相が日米地位協定の運用改善で合意した。安倍政権は事件の影響をできるだけ回避しようとしたが、及ばなかった。

 当日有権者は105万5881人。投票率は53.31%で、過去最低だった前回(52.49%)を上回った。【佐藤敬一】

NHK 『沖縄県議選 翁長知事を支える県政与党が過半数維持

 5日に投票が行われた沖縄県議会議員選挙は、翁長知事を支える県政与党が3議席増やし、県議会の過半数を維持しました。これを受けて、翁長知事は「大勝利だ」と述べ、引き続き政府にアメリカ軍普天間基地の移設計画の断念を求めていく考えを示しました。


任期満了に伴う沖縄県議会議員選挙は、48の議席を巡って、5日、無投票の選挙区を除いて投票が行われました。
各党の獲得議席は、無投票での当選を含めると、▽自民党は選挙前から1議席増やして14議席、▽公明党は選挙前と同じ4議席、▽共産党は選挙前から1議席増やして6議席、▽おおさか維新の会は選挙前と同じ2議席、▽社民党は選挙前から1議席増やして6議席、▽地域政党沖縄社会大衆党は選挙前から1議席増やして3議席、▽諸派が3議席、▽無所属が10議席でした。▽民進党は選挙前と変わらず、議席を獲得できませんでした。


 その結果、翁長知事を支える共産党社民党などの県政与党が27議席を獲得し、県議会の過半数を維持しました。
今回の選挙は、アメリカ軍関係者の男が女性の遺体を遺棄した疑いで逮捕された事件を受けて、アメリカ軍の専用施設が集中する沖縄の現状をどう改善していくかが最大の争点となりました。


 県政野党の自民党は、公明党やおおさか維新の会などと共に与党を過半数割れに追い込みたいとしていましたが、翁長知事を支える県政与党が選挙前からさらに3議席増やし、県議会の過半数を維持する結果となりました。


 翁長知事は記者団に対し、「選挙結果は、普天間基地の移設を阻止する私の公約が一定程度、県民から理解をいただいたものだと思っており、大勝利だ。アメリカ軍関係者による事件が起きたなかでの勝利は、保革を乗り越えて名護市辺野古に基地をつくらせないという県民の思いであり、今後もしっかりと取り組んでいきたい」と述べ、引き続き政府に計画の断念を求めていく考えを示しました。


 今回の沖縄県議会議員選挙の投票率は、過去最低だった前回・4年前を0.82ポイント上回り、53.31%でした。