フライ落球のミス

サンスポ
セ・リーグ、DeNA5−5阪神=延長十二回、規定により引き分け、11回戦、阪神7勝3敗1分、15日、横浜)ホンマ、信じられんで!! 阪神は八回二死二、三塁、高く上がった内野フライを野手が譲り合って“落球”。2者が生還(記録は安打)し、終盤の4点リードを守りきれなかった。消極的な守りのミスに、金本知憲監督(48)も「あのフライがすべて」。借金生活こそ逃れたが、痛恨のドローや!

 信じられない失点劇だった。普通の、何でもない内野フライを誰も捕れない。いや、捕りにいかなかった。なぜ、どうして…。その姿勢を金本監督は許せなかった。

 「あのフライがすべて。していい失敗と、してはダメな失敗があるでしょ。積極的なミスとかは全然アレ(糾弾しない)だけど、消極的なミスだからね」

 勝機を手放したのは4−1の八回二死二、三塁の守備だった。梶谷の打球は内野への浅い飛球。救援に立ち、直球で打ち取った高橋は、小さくガッツポーズをみせた。誰もがチェンジと思ったが、内野間でお見合いが始まった。捕手・原口は一塁手・ゴメスを、三塁手・今成は原口を指名。だが、聞こえていないのか、ゴメスは動かない。さらに異常に気づいた高橋が慌てて、原口を指差したが…。

 DeNAファンのため息が歓声に変わる。高々と上がった打球は誰のグラブに触れるでもなく、人工芝で大きく弾んだ。二走・宮崎も小躍りしながら生還(記録は内野安打)。打球を処理した今成はボー然としていた。

 明らかに流れが変わった。九回にゴメスの10号ソロで2点差に突き放すも、守護神・マテオが打ち込まれ、サヨナラ負けを阻止するのがやっとだった。

 風は三塁から一塁方向に吹いていた。高代ヘッドコーチは「原口が(打球が)上がった瞬間に指示していた。追いかけながら(の指示)だったらわかるが…」とホーム付近から離れず、捕球を早々に任せた判断を糾弾。矢野作戦兼バッテリーコーチも「難しくはない。みんなが捕りにいけばいい話。原口の指示も早かった。みんなが消極的になっていた」と指摘した。

 超変革を掲げる中、技術や経験不足は覚悟の上で若手を積極起用し続ける。貧打解消に、毎試合のように打順を変えている状況だ。原口も10試合連続スタメンマスクをかぶるが、4月27日の巨人戦(甲子園)で育成から昇格したばかり。11日の巨人戦(甲子園)ではコリジョン(衝突)ルールが適用され、走塁妨害をとられたが、金本監督は「原口は間違っていない」とフォロー。ここまで扇の要をきっちりこなしていたが、経験不足が初めて露呈した形。原口も「追ってから判断すれば間に合う(打球の)高さでした。指示が早かった。もったいなかったです」と唇をかんだ。

 勝てた試合だったが、一つの打球処理で勝ちパターンをフイにし、貯金生活はお預け。打線も8試合連続ひと桁安打。勝率5割で迎えた試合は8度目で負けなかったのが救いだ。17日からは甲子園で中日、広島と続く6連戦。超変革の副作用に、立ち止まっている暇はない。


  

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