20(午後8)時17分の成功を めざせ

 H2Aロケット29号機は、アクシデント(警戒区域への船舶侵入)もあったが24日15時50分に無事発射された。今回の打ち上げでは、衛星の燃料を節約して寿命を延ばすため、ロケットが4時間半も飛行を続け、静止軌道に近い高度3万4000キロで衛星を分離する計画。


 これまでのH2Aは、政府やJAXAの「官需」衛星を打ち上げてきた。2012年5月に打ち上げた韓国の地球観測衛星は、JAXA衛星との「相乗り」だった。今回は世界第4位の衛星運用企業テレサットの大型通信放送衛星(約4.9トン)単独の打ち上げ。打ち上げ責任者の二村幸基(にむら・こうき)三菱重工技師長は「成功すれば市場での認知度が高まる」と期待する。


 H2Aは28機中27機が成功しているものの、コスト面などで世界の受注競争では苦戦を強いられてきた。今回の通信放送衛星のように赤道上空約3万6000キロを周回する静止軌道に投入する静止衛星の需要は多いが、赤道から離れた種子島からの打ち上げは効率の悪い軌道にしか衛星を送り込めなかった。このため、静止軌道に到達するまでに衛星の燃料を消費し、寿命が短くなることが弱点だった。


 欧州のアリアンスペース社は赤道に近い南米の仏領ギアナに発射場があり、多くの静止衛星の打ち上げを請け負う。三菱重工JAXAは今回、より遠くまで衛星を運べるよう第2段ロケットの高度化を図った。静止衛星「ひまわり8号」の打ち上げでは約30分後に衛星を切り離したが、今回は4時間半後という長時間飛行に挑む。飛行中の燃料蒸発を減らすため、オレンジ色の燃料タンクの表面は白い塗装に変えた。