辛坊治郎氏の暴言

 

 表現の自由はありながらも、高齢者をとことん落とし込む暴言は許せません。都構想は否定されたものの、辛坊氏が多分支持する維新(橋元を含む)をこれまで支持してきたのも高齢者だったわけです。


 それと、出口調査も、調査対象の全員が答えてはいません。さらに固定電話に固執する世論調査も曖昧です。さらに期日前投票出口調査はおこなわれていません。


 このように我田引水の数字で、さも大阪市の未来が潰されたという発言はいかがなものでしょう。
結局、将来像が描けず反対の声を封殺するような政治姿勢が不信感を増大したのです。マスコミの端くれの辛坊氏が、分からないとは、トホホです。

 都構想をめぐる住民投票、結果はご存じのとおり、0・8%の僅差で反対派の勝利になりました。世論調査などを詳細に分析すると、この結果をもたらしたのは、期日前投票における大量の反対票だったことが分かります。何せ、投票日当日の読売テレビ出口調査で反対が賛成を上回ったのは70代以上の男女と、50代女性だけですからね。


 特に20〜40代の働き盛りの男性は、圧倒的多数が賛成票を投じています。これら大阪の次世代を担う人々の意思を、70歳以上の高齢者が押しつぶしたというのが、紛れもない事実なんです。


 暗たんたる気持ちになるのは、そもそも若年〜中堅層の人口は高齢者人口より少なく、今後ますますその傾向が強まることが決まっているからです。これら高齢者の約4人に1人は認知症、またはその予備軍とのデータも存在しますが、病気を理由に投票権が剥奪されることはありません。


 先週、大阪でタクシーに乗ったら、推定年齢75歳ほどの運転手さんがいきなり私にこう言いました。「70歳以上は投票権剥奪すべきやと思うんですわあ。未来のことは、若い人に決めてもらわんといかんでしょう」。大阪の高齢者も捨てたもんじゃないですね。


 さはさりながら、投票年齢の引き下げと、若年が投票所に足を運ぶ民主主義教育に一刻の猶予もありません。日本の未来のために。((株)大阪綜合研究所代表・辛坊 治郎)