RSウイルスって?

乳幼児に肺炎などを引き起こすRSウイルス感染症の患者がこの10年で最も多くなっていて、国立感染症研究所は手洗いなど対策の徹底を呼びかけています。


RSウイルス感染症は発熱やせきなどかぜに似た症状の出る病気で、主に乳幼児で流行し、初めての感染では3人に1人が肺炎や気管支炎を起こすなど重症化すると入院が必要になることもあります。
国立感染症研究所によりますと、先月30日までの1週間に全国およそ3000の小児科の医療機関で、新たにRSウイルス感染症と診断された患者は5495人で、2週連続で5000人を超え、この10年で最も多い患者数になっています。


都道府県別では、北海道が376人、埼玉県が341人、東京都が340人、大阪府が317人、愛知県が315人などとなっていて、流行は全国に広がっています。
RSウイルス感染症の流行は、例年12月から1月にかけてピークを迎えることから、今後もしばらくは患者の多い状態が続くおそれがあります。
国立感染症研究所の木村博一室長は、「生後6か月未満の赤ちゃんが感染すると症状が急激に悪化して呼吸困難に陥るおそれがあり、赤ちゃんにとってはインフルエンザ以上に怖い感染症だ。家族からうつさないように、しっかりと手洗いをしたり、せきなどの症状があるときはマスクをするなど対策を徹底してほしい」と呼びかけています。


RSウイルス感染症は3歳までにほとんどの子どもがかかりますが初めて感染した場合、3人に1人が肺炎や気管支炎を起こすとされます。
入院が必要になるのは初めて感染した子どもの2%から5%で年間、およそ2万人に上ると推計されています。

千葉市立海浜病院の小児科の病棟には、RSウイルスに感染し、肺炎や気管支炎を起こした、生後18日から7歳までの子ども9人が、現在入院しています。
院内で感染を広げないよう同じ病室に集めたり、個室にしたりして対応していますが、例年より患者数が多いため、新たな入院患者の受け入れを断らざるを得ないケースも出ています。
このうち入院5日目という3歳の女の子は、気管支炎のため酸素をうまく取り込めなくなっていて、酸素吸入用のマスクを口に当て気管支を広げる薬の投与を受けていました。
また、1歳4か月の男の子は、せきがひどく点滴で栄養を補っている状態だということで、母親は「ゼーゼーという呼吸がとても苦しそうで、感染しないように気をつけていればよかった」と話していました。


千葉市立海浜病院小児科の地引利昭統括部長は「夏ごろから入院患者が増え、その勢いを保ったまま12月に突入していて、例年より多い印象だ。ことしはインフルエンザの入院患者もいつもより早く出ているので、小児科病棟では感染対策をより慎重に行わなければならない状況になっている」と話しています。


そのうえで、RSウイルスへの注意点として、「大人や4、5歳以上の子どもは軽い鼻風邪程度ですむが、3歳未満の乳幼児は重症になることがある。家族がうつさないように手洗いやマスクといった対策を徹底してほしい。また感染した場合には、呼吸がゼーゼーしてきたり、元気がなくなって食事がとれなくなったりしてきたら要注意だ。こうした変化に早く気づき医療機関を受診してほしい」と話しています。