会場を 日本色に 染めてほしい W杯ブラジル


サンケイスポーツ6月10日

本田〜!!地元5400人熱烈コール、ブラジルが「完全ホーム化」/W杯

 

本田が練習場のピッチに登場すると、5400人が詰めかけたスタンドから「ホンダコール」が巻き起こった(撮影・吉澤良太)(写真:サンケイスポーツ


 サッカー・日本代表合宿(8日=日本時間9日、ブラジル・ソロカバ)

 W杯ブラジル大会に臨む日本代表ベースキャンプ地イトゥ近郊でブラジル入り後の初練習を公開で行い、海外では異例の約5400人もの地元ファンが会場に駆けつけた。


 FW本田圭佑(27)=ACミラン=は万雷の“ホンダコール”を受け、「アドバンテージになる」というブラジルの雰囲気に満面の笑み。日系人が多いこともあり親日的なブラジルでは、W杯でも“ホーム化”が見込まれ、日本時間15日のコートジボワールとの1次リーグC組初戦(レシフェ)勝利を目指す選手たちに気合がみなぎった。


 海外にいることを忘れそうな光景だった。ベースキャンプ地イトゥの近郊、ソロカバの市営スタジアムで行われたブラジル入り後の初練習。気温24度、湿度45%と過ごしやすい気候の中、約5400人の観衆で埋まったスタンドからは熱い大歓声が飛んだ。

 一段と声援が大きくなったのは、金から銀へ髪を染め直したFW本田がピッチに現れたときだ。場内は「ホンダ! ホンダ!」の大合唱。約500人のファンとの練習前の記念撮影ではもみくちゃになりながら子供たちのサインに応じ、客席に石川・星稜高出身のエースを応援する「ブラジル石川県人会」の横断幕を見つけると右手を挙げて応えた。


 このフィーバーぶりにFW岡崎は「珍しい。公開練習でもこれだけの人がいることはない」と目を白黒。FW香川は練習中にたびたび起きた「ニッポンコール」に「すごくうれしいし、ありがたい」。主将のMF長谷部は「試合にもたくさんの方が来て、背中を押してくれると思う」。GK川島は「日本人の誇りをブラジルの人たちに見せたい」と武者震いした。


 背景には強い親日感情がある。両国間の移民の歴史は100年を超え、約160万人の日系人が住み在留邦人も5万6000人余り。日系人は勤勉さでブラジル社会から信頼され、ブラジル開催だった昨年のコンフェデレーションズ杯でも、ブラジル戦以外で日本は圧倒的な声援を受けた。

 チケットは70%がブラジル国内向けに販売されたが、国際サッカー連盟(FIFA)の関係者は「日本の試合は人気があります」。W杯でも“ホーム化”は確実だ。サンパウロ日本人学校では日本の第1、2戦が行われる日を「応援休み」。ベースキャンプ施設のオーナーも日系人で細かい要望に素早く対応と、サポート態勢も心強い。


 そんな状況を歓迎するのが「親日なのをすごい感じるし、アドバンテージだと思う。W杯で後押しとなる可能性がある」とコンフェデ杯を振り返る本田だ。代表戦22得点中14点とホームでの強さは折り紙付き。チームの勝率もホーム70%に対しアウェー43%と大きな差がある。



 W杯初戦のコートジボワール戦が行われるレシフェの会場は、コンフェデ杯・イタリア戦と同じ4万4248人収容のペルナンブコ・アリーナ。本田にとって4万人の声援を背にゴールを決め、ミラン移籍の足がかりをつかんだ縁起のいい場所だ。

 この日は取材対応せず引き揚げた本田だが、約1時間半の練習では、トップ下に君臨した戦術メニューでも軽やかなプレーを披露。日本時間7日のザンビア戦(米タンパ)で2得点して勢いづく銀狼は、“ホーム”の力強いアシストを受け白星発進へ突き進む。