ヨーロッパに吹く 反EUと分離・独立の風 


産経2014.5.26 10:20

【ベルリン=宮下日出男】欧州連合(EU)欧州議会選挙(定数751)の開票が25日夜(日本時間26日未明)行われた。フランスで極右政党の国民戦線(FN)の首位が確実視されるなど、EUに批判的な勢力が躍進する勢い。債務危機を機に広がったEUへの不満の強さが改めて示された。


 出口調査などに基づく欧州議会の推計では、最大会派の中道右派、欧州人民民主党が得票率28.2%(予想議席212)で首位を保ち、第2会派で中道左派の欧州社会・進歩連盟が24.8%(同186)。中道右派・左派などの主流派が過半数を維持する見通しだが、既存のEU懐疑派と合わせ、「反EU」勢力は2割近くの約140議席程度に上ると予測される。


 フランスではFNの得票率が約25%で同国の74議席中、20議席以上を得るとみられる。全国規模の選挙でFNの首位は初めて。保守系最大野党が2位。オランド大統領の与党社会党は約15%に低迷する見込み。


 英国ではEU脱退を唱える英国独立党(UKIP)が与党保守党、最大野党の労働党を抑え首位をうかがう。ギリシャでは「反緊縮財政」を掲げる最大野党の急進左派連合が第1党に躍進し、極右政党も議席を確保する見通しだ。


 このほか、イタリアでEUに懐疑的な野党、五つ星運動が第2党となり、ドイツでも反ユーロ政党「ドイツのための選択肢」欧州議会選初参加で議席獲得が確実視されている。

 
 欧州では緊縮財政への反発や雇用不安から極右など反EU勢力が支持を拡大。選挙の結果を受けて、EUの政策が直接左右されることはないが、首脳会議での議論には影響を与えるとみられている。

 投票率は過去最低の43%をわずかに上回る43.1%だった。 

EU崩壊 (新潮新書)

EU崩壊 (新潮新書)

ブリュッセル 25日 ロイター] - ベルギーで25日に実施された総選挙(下院議会、定数150)は、北部オランダ圏の分離独立を訴える中道右派の「新フランデレン同盟(N─VA)」が第1党になる見通し。


ベルギーの国政選挙は事実上、フランス語圏とオランダ語圏で別々に選挙が実施される。

 開票率約80%の段階で、N─VAは、全人口の約60%が住む北部のオランダ語圏、フランデレン地域で約30%を得票。前回2010年の28.2%を上回った。


 ディルポ首相率いる社会党は、南部フランス語圏で得票率1位となる見込み。だが、一部の票が急進的な左派新党に奪われた。 ディルポ首相は「我が国を進展させられる過半数勢力をできるだけ早く結集したい」と述べた。

[ロンドン 23日 ロイター] - 英国で22日に実施された地方選の開票速報で、欧州連合(EU)離脱を主要政策に掲げる英国独立党(UKIP)が躍進し、現時点で議席数を前回の1から90近く増やしたことが分かった。

 EUへの対応を確立し、2015年5月の総選挙で再選を目指す保守党のキャメロン首相にとってはプレッシャーとなる。


 野党労働党が94議席となった一方、保守党は101議席減、自由民主党は84議席となっている。


 同日には欧州議会選挙も実施されており、結果はほかのEU加盟国の投票終了を待って25日に発表される予定。ここでもUKIPは多くの票を集めると予想されている。