アナ雪 快進撃 めざせ 次は興収200億円


朝日新聞

世界的な大ヒットになったディズニーのアニメ映画「アナと雪の女王」。人気の大きな理由は、主人公が歌う主題歌「レット・イット・ゴー」にあるという。上映館に足を運んでみると……。

 ♪ありのままの姿見せるのよ ありのままの自分になるの〜


 大型連休初日、東京ディズニーランドに近い千葉・舞浜の映画館。東京都江戸川区の会社員工藤利子さん(40)と娘の留歌さん(6)は約120人の観客とともに主題歌を熱唱した。


 映画を見ながら歌の場面では観客も一緒に歌う「みんなで歌おう!」という企画上映だ。米国で人気の鑑賞スタイル。日本でも3月の「アナ」封切り後間もなく、「一緒に歌いたい」との声が相次ぎ、この連休中、全国80余りの劇場で実施した。


 当初は映画自体に関心がなかった工藤さんだが、動画サイト「ユーチューブ」で主人公が歌う主題歌の楽曲映像を見てはまった。留歌さんも「家で歌うより大きな声で歌えた」と満足げ。工藤さんは「歌いながら主人公の気持ちとつながった感じで、上映中に2人で泣きました」。


 映画は、触れるものを凍らせる力を持つがゆえに孤独を抱えるエルサと、彼女を救う旅に出る妹アナの姉妹愛を描く。興行収入は全世界で11億ドルを突破し歴代6位。日本では170億円で歴代8位という大ヒットになっている。


 この人気作を支える屋台骨が主題歌だ。米国ではエルサ役のミュージカル俳優イディナ・メンゼルさんが歌い、大ヒットに。サントラアルバムは通算12週全米1位を記録し、250万枚以上を売り上げた。日本でもオリコン週間アルバムチャートでサントラとしては異例の2週連続1位となり、通常盤と特別盤で計46万枚を売り上げ、一昨年公開のミュージカル映画レ・ミゼラブル」サントラ盤の11万枚を軽々と超えた。アニメ映画のサントラ盤歴代1位の売り上げだ。


 ユーチューブでは英語版「レット〜」の動画が1億回以上再生されている。アラビア語、広東語など各国の人気歌手が自国語で歌うバージョンもあり、世界中に浸透。一般の人が自らの歌を動画サイト上で披露するブームも起きている。


 映画・演劇評論家の萩尾瞳さんは「『ピノキオ』の『星に願いを』のように、作品のテーマを象徴した内容と、誰もが一度聞けば耳に残る印象的なメロディーで、ミュージカルの主題歌に求められる要素をしっかり満たしている」。松たか子さんが歌う日本語吹き替え版についても、「英語版より主人公の主体性が表現されており、歌詞の出来が良い」と評価する。


 主題歌の作曲は、ブロードウェーミュージカルのトニー賞受賞作「アベニューQ」「ブック・オブ・モルモン」も手がけた気鋭の作曲家ロバート・ロペスさんが担当。「レット〜」でアカデミー賞歌曲賞を受けた。「ブロードウェーで上り調子の作曲家をうまく起用した。目の付けどころがさすがディズニー」と音楽評論家の村岡裕司さん。


 エルサが「レット〜」を歌うのは物語の山場の一つ。感情を解き放つように全身で歌い上げる。


 作品を見た新潟青陵大学大学院の碓井真史教授(社会心理学)は「エルサが葛藤や迷いを振り払うかのように『ありのままでいい』と心の高ぶりを歌で表現する。エルサに共感し感情移入している観客は心を揺さぶられ、一緒に口ずさみたくなる」と話す。


 先月下旬に「みんなで歌おう!」に参加した東京都板橋区の会社員鈴木成美さん(21)も上映後、こう話した。「映画の中に入りたくなった。また映画館へ歌いに来ないと!」(河村能宏)

神去なあなあ日常

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映画 WOOD JOB!(ウッジョブ)〜神去なあなあ日常〜  (映画@見取り八段さん)