「いいもん」と「悪るもん」

糸井重里さん

 (昭和30年代)映画が三本立であることで、
 目的の家族用の映画ばかりでなく、
 大人のための映画も併映として見てしまうことになる。
 そのことが、のちのちのじぶんの好奇心の
 土台になったような気もしている。

 映画を観ているこどもたちの、いちばん大きな問題は、
 どの登場人物が「いいもん」でどれが「わるもん」かだ。
 そこのところが明確にならないと、

 じぶんが映画をどう観ていいのか、わからなかったのだ。
 思えば、いまでも、多くの「大の大人」たちが、
 「いいもん」と「わるもん」を決めつけて生きている。

 そのほうが、生きやすいからなのだろうか。

 ウクライナ問題ひとつとっても、某大手新聞のヨーロッパ総局のエライさんnの論評を読むと悲しくなった。考え方が、ステレオ方式なのだ。いつまで欧米、特に米国の一方的価値観と論理に隷属している。ロシアだけが悪いとの決めつけで、いいもんは欧米。「自由度」は欧米の方があるだろうけれど、それはあくまで“資本主義の範囲”なのだけれど。