10年前は 当たり前の ルール だった 写真の切り貼り


2014.4.26 10:09 (1/3ページ)
小保方晴子氏の研究論文の疑義に関する調査報告を行う石井俊輔氏=1日、東京都墨田区(大里直也撮影)  
小保方晴子氏の研究論文の疑義に関する調査報告を行う石井俊輔氏=1日、東京都墨田区(大里直也撮影)  

 新型万能細胞「STAP(スタップ)細胞」の論文不正問題で25日、理化学研究所の調査委員長を辞任した石井俊輔上席研究員(62)。トップクラスの研究者が疑義で身を引く前代未聞の事態に衝撃が広がった。理研の信用はどこまで失墜するのか。日本を代表する研究機関は苦境に追い込まれた。

「学術誌も不正ではないと認めた」と説明

 石井氏が責任著者となった平成20年の論文に指摘された疑義は、乳がん抑制に関わるタンパク質の機能を示すデータの中で、遺伝子解析の結果を示す電気泳動の画像が不適切に加工されているというものだ。

 石井氏が24日に公表した文書によると、1枚の画像の中でデータの並び順を入れ替えていたとみられる。

 この画像は、不正と認定された小保方(おぼかた)晴子・研究ユニットリーダー(30)らのSTAP論文の画像と同じ種類。石井氏は取材に「(小保方氏のように)部分的に伸ばすなどの加工もしておらず、学術誌も不正ではないことを認めている」と説明した。

 石井氏は学術誌側に提出したとする訂正画像や実験ノート、生データの画像などを公表。疑義が浮上してから長期間、著者による説明がなかったSTAP論文の状況とは対照的で、科学者として誠実な対応と評価する声もある。

 ネット上では16年に米学術誌に掲載された論文にも、データ切り張りなどの疑義が指摘されている。これに対し、石井氏は「10年前のルールでは(切り張りは)問題ないと判断していた」とコメントした。