6億円の 税金無駄使い 大阪市長選挙

 橋下氏の 「我儘(わがまま)選挙」に虚しさを感じる。
 もっと地道に大阪市民の生活を良くすることを考え実践しようよ。

 9日告示された大阪市長は、都構想の推進を掲げて論戦を挑もうとする前市長に対し、主要政党がそろって候補擁立を見送る異例の構図でスタートした。


 選挙カーが行き交い、演説が響くいつもの選挙とはほど遠い静けさで、戸惑う有権者も少なくなかった。


 午前10時、日曜日でにぎわう大阪市中央区の難波。駅前ロータリーに選挙カーで乗りつけた前市長の橋下徹氏は「今の市役所はでかすぎる。時代にふさわしい役所に作り直す」と約1時間、都構想を解説した。ただ、立ち止まる聴衆は2年余り前の知事、市長のダブル選には及ばない。


 買い物中の同市淀川区の会社員(29)は、なぜ都構想の議論が進まないのかを知りたいという。「橋下さんの話を聞くと、二重行政を解消する都構想のメリットはわかる。だが、どんなデメリットがあるのか、反対する政党の主張を聞きたかった。一方が訴えるこんな選挙では議論も盛り上がらない」と残念そう。


 橋下氏はこの後、JR大阪駅前に移動。街頭演説の会場に居合わせた他候補に「選挙に出てくれてありがとう」と感謝。聴衆からは笑いも起きた。


 午後1時、住民4人に1人が生活保護を受ける西成区。西萩北振興町会長(74)は昼食を終えて自宅にいた。7日に全面開業した日本一の高層ビル・あべのハルカスも徒歩圏内だが、この辺りまでにぎわいは届かない。


 「生活保護受給者と高齢者ばかりで、商店も経営はみんな苦しい。何とか改善してほしい」と町会長。心配は地域の将来だ。


 「都構想では『地名を変えてイメージアップを』との話もあるが、西成は愛着のある地名。そんな小手先で地域が良くなるとも思えない。目立った対立候補もおらず、誰に投票すればいいのか」と、もどかしい様子。町内で選挙はほとんど話題にならないという。


 午後3時、日本一長い商店街、北区の天神橋筋商店街は多くの買い物客がいた。ふだんは候補者が練り歩き、議員や秘書も動き回るが、今回はそんな動きがほとんどなさそうだ。


 戦前から続くカバン店の3代目の男性(66)は「選挙という実感が全然ないね」と苦笑し、「商売人として選挙費用6億円は想像もつかない額。そんなに税金を使って行うべきなのか」と首をかしげる

(2014年3月10日10時00分 読売新聞)