セヴァストポリは ロシアにとって 忘れられない 土地

 第二次世界大戦、特に「独ソ戦争」でセヴァストポリ要塞をめぐる戦いは、熾烈なものだった。ドイツ軍に包囲され、全滅させられ、再びロシアが虐包囲し、ドイツ軍を殲滅した。まさに血で贖った土地なのだ。


 現世的に、ロシア黒海艦隊の港である重要性以上に、ロシアにとって、クリミア半島は 譲れない土地なのだ。


揺れるウクライナ:クリミア半島ルポ 住民、無血占拠を歓迎
毎日新聞 2014年03月03日 東京夕刊

シンフェロポリウクライナ南部)真野森作】クリミア自治共和国の首都シンフェロポリから東南約25キロのペレバリノエ村には異様な光景が広がっていた。青と黄色のウクライナ国旗が門柱に翻るウクライナ軍駐屯地ではロシア軍所属とみられる100人近い身元不詳の重武装の「兵士」たちが警戒にあたっていた。ウクライナ軍兵士はなすすべもなく、付近に集まったロシア系住民は無血占拠を歓迎していた。 


 前兆は2日朝からあった。午前10時ごろ、記者はシンフェロポリからロシア黒海艦隊基地のある特別市セバストポリへと、幹線道路を走っていた。突然、対向車線にライトをつけた装甲車や兵員輸送トラックなど約20台の車列が現れ、猛スピードで首都方面へと走り去っていった。


 駐屯地占拠の情報を得て、午後4時過ぎに村に入った。住民らの話によると、重武装の兵士たちは正午ごろ現れ、ウクライナ軍との衝突もなく駐屯地を掌握したという。数十台の軍用車両にも、兵士の深緑の軍服にも、所属を示すものは一切ない。兵士に近付き、記念撮影する住民もいた。


 ウクライナ軍の兵士たちは武装解除されて駐屯地内の1カ所に集められている様子だ。数人が不安げな表情で門の内側を所在なげに歩いていた。


 2日夜、首都へと戻ると、議会前で警戒していたロシア系武装勢力の姿が消えていた。クリミア半島内でのウクライナ軍の反攻の芽を摘み取ったという、ロシア側の自信の表れに感じられた。