あと10年か!


 毎日新聞 2013年12月16日 10時05分(最終更新 12月16日 10時15分)

 あらゆる細胞に分化できるマウスの胚性幹細胞(ES細胞)から、血糖値に応じてインスリンを分泌する膵臓(すいぞう)の細胞(膵ベータ細胞)を効率よく作製することに成功したと、熊本大の研究チームが発表した。できた細胞を糖尿病のマウスに移植すると、3週間後には血糖値が正常値に改善した。ヒトの糖尿病の治療にも応用が期待できるという。


 これまでの研究では、十分な機能を持つ膵ベータ細胞を作ることができなかった。チームは、ES細胞から膵ベータ細胞への分化を促進し、生体同様にインスリンを分泌する細胞に育つことに必要な2種類の化合物を特定した。その結果、従来のものと比べ、10倍以上効率よく作製できた。インスリンの分泌量も200〜300倍に上がり、生体内の機能に近付いたという。


 この方法をヒト人工多能性幹細胞(iPS細胞)に応用すれば、ドナー提供を待たずに移植治療できる可能性があるという。粂昭苑(くめ・しょうえん)熊本大教授は「動物実験で安全性が確かめられれば、10年後にはヒトへも応用できる」と話した。【斎藤有香】