川口氏が解任される。

NHK

 自民党の川口参議院環境委員長の中国訪問を巡って野党側が提出した解任決議案は、9日の参議院本会議で採決が行われ、野党側の賛成多数で可決されて、川口氏は委員長を解任されました。
委員長の解任決議が可決されたのは衆参両院を通じて初めてです。


 自民党の川口参議院環境委員長が先月、国会の了承を得ないまま中国訪問の滞在期間を延長し、参議院環境委員会が中止になったことを巡って、民主党などは7日、「委員長の職責をみずから放棄したも同然で、断じて容認できない」として、川口委員長の解任決議案を提出しました。

 9日に開かれた参議院本会議で、決議案の趣旨説明と討論が行われ、民主党は、「川口氏は一方的に中国滞在を延長し、みずから召集した委員会を流会にした。委員長が渡航許可のルールを無視して無許可で滞在を延長したことは憲政史上に例のない事案で、不適格とのそしりを免れない」と述べました。

 これに対し自民党は、「滞在の延長は中国政府の要人と会談するためで、国益に貢献する意義があった。川口委員長は事前に延長を申請し、取るべき手続きは取っており、野党が延長を認めなかったことが問題の原因だ」と述べました。

 そして、解任決議案の採決が行われ、民主党みんなの党、生活の党など、野党側の賛成多数で可決されて、川口氏は委員長を解任されました。

 関連社説

 
社説:川口氏の解任案 大局を見ぬ野党の対応
毎日新聞 2013年05月08日 02時30分

 連休明け国会の始まりがこれでは、国民の政治不信はますます深まるのではないか。そう思わせる国会のごたごたぶりだ。

 川口順子(よりこ)参院環境委員長(自民)が、中国出張を国会の許可なく延長したため、委員会が中止になったとして、野党7会派が川口氏の解任決議案を参院に共同提出した。

 ねじれ国会で参院では野党が多数を占めるため、決議案は野党の賛成多数で可決される可能性がある。常任委員長の解任決議案が可決されれば、衆参両院を通じて現憲法下の国会史上初めての事態だ。野党側にも言い分はあるとはいえ、今回の解任決議案は行き過ぎではないか。

 経緯を簡単に振り返ってみたい。

 川口氏は国際会議に出席するため、4月23日から25日までの3日間の日程で、中国出張を国会に申請した。参院では2011年、国会開会中の常任委員長の海外渡航を自粛することを与野党が申し合わせており、参院議院運営委員会の理事会は、出張日程を1日短縮して4月23、24両日とすることで許可した。

 しかし川口氏が北京滞在中、前外相の楊潔篪(ようけつち)国務委員(副首相級、外交担当)との会談が25日に実現することになった。川口氏は、出張日程の延長を願い出たが、参院議運委理事会の了承が得られず、そのまま北京滞在を1日延長して、楊氏と会談した。25日に予定されていた環境委員会での法案の趣旨説明は急きょ、中止になった。

 川口氏の行動をどう評価するか、自民党と野党の主張は真っ二つだ。

 自民党は「観光旅行に行ったわけではない。国益を考えた判断だ」(石破茂幹事長)と強調する。

 野党は「立法府は立法が最大の責任で、行政府ではない」(松野頼久・維新の会国会議員団幹事長)と批判する。川口氏の中国出張は、閣僚の海外出張とは次元が違う話で、議員外交をやりたいなら、委員長を受けるべきではなく、ルール違反は「国会軽視」というのが野党の主張だ。参院選を控えて、今回の野党共闘を安倍政権を攻める突破口にしたいという思惑も働いているようだ。


 川口氏の行動は、形式的には参院のルールから外れている。しかし、尖閣諸島の国有化以降、日中両政府は対話の糸口を見いだせず、議員外交が待望されている。川口氏自身も陳謝しているのだから、ここは大局に立って、「ルール違反」は注意で済ませ、国会審議を促進するのが常識的な対応ではないか。

 常任委員長の海外渡航自粛というルールが、時代に合っているのか、再検討する必要もあるだろう。今回の騒動がせめて、そういう前向きな議論に発展することを期待したい。

 毎日の社説は、この時点では何だか優等生的な発言(特に赤字部分)であったが、まさか『自民党予算委員会の欠席』(前代未聞)という暴挙で国会審議を阻害するとはね・・・・。