まず実行すべきはシロアリ退治だ!
東京新聞 「筆洗」
最近の政治家を気の毒に思う時がある。野党時代の気軽な言動もインターネットですぐに検索されてしまう。今の主張と百八十度違うことを言っていたことが一目瞭然だ▼野田佳彦首相もつい三年前の総選挙の時の動画が出回った。「マニフェストはルールがある。書いてあることは命懸けで実行する。書いてないことはやらないんです」「シロアリ退治しないで、消費税引き上げなんですか?」▼衆院の解散をエサに三党合意を実現させ、財務省が悲願とする消費税増税の道筋を付けたしたたかな政治家だ。言行不一致を非難されても痛痒(つうよう)は感じないだろう。「近い将来」と約束した解散時期も相手がいなくなると、なかったことのように振る舞える人なのだから▼<風吹けば桶(おけ)屋儲(もう)かる復興費>と本紙の時事川柳が皮肉っていた。復興予算に群がるシロアリ官僚たちの予算分捕り合戦に、野田首相も民主党も鷹揚(おうよう)に見える。復興予算の使途を審議しようとした衆院決算行政監視委員会は、民主党議員が欠席して流会になる始末だ▼勝算のない総選挙をぎりぎりまで先送りしたいのか、臨時国会召集の時期すら決まらない。次の選挙は落選は必至。ならば、任期いっぱいまで粘って歳費をいただこう−▼想像したくないが、そんな浅ましい考えは党内に巣くっていないか。そうだとしたら、議員の存在自体がシロアリである。
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