水夏希 夢を追い続けた18年間 夢の世界 宝塚
タカラジェンヌには、いつか卒業の時が訪れる。宝塚歌劇団雪組トップスターに就任して3年半、クールでシャープな男役として一時代を築いた水夏希(みず・なつき)さんも、いよいよ9月12日にその時を迎える。宝塚生活18年の集大成、「ロジェ」「ロック・オン!」の公演で今、男役としてのラストステージに立っている。宝塚で最もスーツの似合う男役ではないだろうか。洗練された着こなしから、足の組み方やアルコールを飲み干す様子まで、すべてが計算し尽くされた男役としての完成形。
そんな水の魅力が存分に描かれたハードボイルドなミュージカル「ロジェ」(正塚晴彦氏作・演出)。幼き日に見知らぬ男によって家族を殺された過去を持つインターポールの刑事ロジェの復讐劇だ。「ロジェは20年余りこだわってきたものを最後に手放したからこそ、新しい人生に踏み出すことができるというストーリー。私自身もこだわり続けたものを自然体で手放すことができたら、新しい世界に足を踏み入れられるのかなという思いで演じています」と自らの境遇を重ねて語る。
「ロック・オン!」(三木章雄氏作・演出)は雪組の団結力を感じさせるショー。宝塚の王道、黒のえんび服姿の男役40人をセンターでけん引する水の雄姿もこれで見納めだ。
千棄市出身。月組、花組、宙組と組替えを経験して現在の地位に就いた。「中学生の時から人前に出る仕事がしたいと思いつつも、平凡な人生を送るだろうと思っていました。予想外の人生でした」と振り返る。「自分が宝塚を背負っている看板の一人だという事実自体がまだ信じられない。自分が自分でないところにいるような感覚だから、有終の美を飾るんだというよりも、研1 (研究科1年、入団1年目) から継続してきたことの延長線上であり、退団は通過点だと思っています」
夢を追い続けた18年間。退団を前に感じる宝塚の良さとは?と尋ねると即座に答えが帰ってきた。「日本中のどこにもない豪華で華やかで現実を忘れられる夢の世界です」男役として生きるのも残り2カ月。ゴールの先にはどんな生きざまを見せてくれるだろうか。退団公演、宝塚大劇場は7月26日まで。
雪組 『ソルフェリーノの夜明け』 『Carnevale 睡夢』宝塚大劇場千秋楽の動画
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