小沢幹事長の記者会見

 朝日新聞より。

小沢一郎民主党幹事長の25日の定例会見でのやり取り次の通り。

 ――通常国会の場で説明を求められた場合、応じる考えはありますか。

 「それは国対(国会対策委員会)あるいは(予算)委員会の現場で与野党で議論することでございますから、その議論の結果に従います」


 ――23日の東京地検特捜部による事情聴取で、中堅ゼネコン水谷建設をめぐる資金提供疑惑に関して、検察官とのやり取りを補足してほしい。

 「検察当局との一問一答について詳細に述べることは余り好ましい、適切でないと思いますので避けたいと思いますが、先日の会見で申しあげました通り、土地購入の資金についてのお話が、お尋ねが一つの大きな柱でございました。それについて、私、色々な角度から自己資金のことにつきましても質問がありまして、それに自分として事実を答えたということでございますが、その関連として水谷建設から5千万円の提供があった、という風に正確な表現は忘れましたけども、と言われているけれども、いかがかという話があったと思います。私の方からは水谷建設から5千万円を受け取ったと。そして土地購入の資金に充てたという事実はまったくありませんし、その他の会社からも不正な資金の提供を受けたことはありません。また、秘書もしくは担当者であった者たちも、そのようなお金を受け取っていないと私は信じていますと。そのように申しあげました。それ以上の繰り返しの問答は、あまり無かったように思います」


 ――土地購入を巡るお金の出入りが政治資金収支報告書に記載されていなかったことについて監督責任、刑事責任はどのように考えるか。責任があると考えるなら、責任の取り方はどうか。

 「先日もそういう責任の話、幹事長職をどうするのかというお話、ございました。事実問題として、私自身も担当者を置いている政治家の場合は、まあまあ大体同じようだと思いますが、直接報告書に具体的に数字に目を通して全部検証するということは、ほとんどしていないと思っております。それは担当者を信じて、信頼関係がなければ、これ成り立ちませんので、そういう意味で信頼して任せているというのが、そういうのが事実、現状だと思っておりまして、そういう意味での、もっとお前たちも、もう少し詳細に検証しろと。そうすべきじゃないかというご意見に対してましては、それはその意味では、そういう詳細な検証をしなかったという点については、責任というか、申し訳なかったということは言える、感じておりますけれども、事実問題として、とても会計、経理処理まで全部やれるような時間的、また、能力的な暇がありません、余裕がありませんので、結局、任せるということになってしまっているんですけれども、そのことが結果として、このように世間皆さまにご迷惑をかけているということについては、国民の皆さん、同志皆さんにおわびを申し上げたいと思っておりますが、現時点では、とにかく与えられた職務に全力を尽くすと、そういう気持ちでおります」


――聴取後の会見の説明では家族の預金を取り崩して金庫で保管していたということだった。では、その金庫では政治資金と個人のお金がごちゃ混ぜになって保管されていたのか。

 「何を?」


 ――4億円、お金ですね。

 「ああ、はい」


 ――金庫では政治資金と個人の金とどう区別して保管していたのか。

 「どういう金庫かどうか、ここで説明するあれはないですけれども、政治資金と私の私的な資産とは、明確に区別してやってきておりますし、細かな点についても、私はできる限り、そういう混同されるような目で見られないようにということで、私的なものは自分自身が支払い、うーん、公的な出張、その出張の旅費等についてもそれは正確に区分けして、行動をしているつもりでございます」


 ――かつての会見で「秘書がすべてやっていたということで、すべて責任を逃れることがあってはいけない」と述べていたが、きょうの説明は矛盾しないか? また、「すべて公開している、単純なミスがあったのかも知れない」とも述べていたが。

 「そうです、私の発言です。うん、私はですから、実体上として私が、自身が全部、今言ったように経理のことを担当するだけの時間的にも能力的にも、それは事実上不可能なことですので、その意味では担当者に任せてきておったということは事実でございますけども、私はその意味における、そしてそれがもし誤ったということをしたならば、それはあの、私の代表者としての責任ももちろんあると思っています」


 ――今、検察とメディアが歩調をそろえたかのように推定無罪の原則を破った報道を続けている。これは民主党が進めようとしている取り調べの可視化法案、検事総長の民間登用、記者クラブの開放などと関係しているのではないかと見る向きがある。


 「私はそのことによって捜査が公正さを欠くようなことをしているとは思っておりません。それはそれ、これはこれで、したがって先日も公平、公正な捜査につきましては、今までもそのつもりで僕はいましたけれども、今後も協力していくという風に申しあげた通りでございます」


――民主党内では捜査情報漏洩(ろうえい)問題のチーム、石川議員の逮捕を考える会など牽制(けんせい)する動きがある。こうした動きをどう思うか? 衆院選マニフェストの盛り込まれた可視化法案について成立を求める声が出ているが。
 

「今自分はまさにその問題の関連で、にある訳ですので、そのことにつきまして一切、党内的にも指示も意見も言っておりませんし、現時点ではそういうことについての発言は差し控えていきたいと思っております。いずれ解決を致しました時点で、そういった類のことについても必要ならば、コメントさせて頂きます」


 ――土地代金の原資について尋ねる。家族名義の銀行口座から引き出した資金が3億6千万円分あったという説明だったが、なぜ家族名義にしたのか?  

「私は平成3年に心臓病で入院を致しました。まあ、おかげさまで元気で戻ってきましたけれども、そういう人生というか命というか、自分のこともたぶん念頭にあって、万が一のときにも、というような意識があって、家族の名義にそのときしたのではないかと今、思っております」


 ――幹事長は売買代金の支払い後に定期預金を預金担保に借り入れした理由は分からないと文書に記している。一方でその融資の書類にはサインしている。融資は何に使われると思っていたのか。



 「その同じ時期ですので、それに関連したことだろうということは認識しておりましたけれども、具体的にどういう風なやり方でやってるのかとかなんとかということについては一切聞いておりません。もう、私自身としては買うという方向性を決めて、ところが後援会にはお金が十分ないということで、自分の資金を提供したというところまで自分自身の考え、行動の範疇(はんちゅう)でして、あと具体的にどういう風に事務を取り扱っているか、どういう風に相手方と交渉しているかとかいうようなことについては私は一切、報告もしろとも言いませんし、それはもう信頼して任せたということでございます」

 司会「一応、約束の最後の2問ということで終わらせて頂ければありがたい」


 「はい、また定例会見は続けてやりますので、その時にまたお願い致します。はい、ありがとう」