ME AND MY GIRL 評2

サンスポより。

 宝塚歌劇の「ME AND MY GIRL(ミー&マイガール)」(三木章雄氏脚色・演出)は、何度観ても楽しくて心が弾む。海外ミュージカルの宝塚版では最も似合う作品だろう。こんどは真飛聖(まとぶ・せい)さん主演の花組による大阪・梅田芸術劇場メインホール公演。桜乃彩音(さくらの・あやね)さんとのトップスター・コンビは、お互いを一途に愛する心がよく伝わる好演である。

 1930年代のロンドンを舞台に、下町で育ったヘアフォード伯爵のひとり息子ウィリアムことビル(真飛さん)が、世継ぎとして認められるまでの大騒動を明るく描くコメディー。真飛は声と表情に変化をつけて演じ、さわやかで軽やか。恋人サリー役の桜乃さんは等身大の乙女心がいじらしく、ラストに変身するレディー姿はハッとする美しさだ。

 秀逸は弁護士パーチェスター役の未沙のえる(みさ・のえる 専科)さん。当たり役だけに間合いが絶妙で、登場しただけで笑いをひとり占めしてしまう。ビルを教育するマリア侯爵夫人の京三紗(きょう・みさ 専科)さんは、温かさと貫禄(かんろく)がある。

 今回はジョン卿を愛音羽麗(あいね・はれい)さんと壮一帆(そう・かずほ)さん、ジェラルドを愛音さんと朝夏まなと(あさか・まなと)さん、女役のジャッキーを壮さんと朝夏さんと、男役の3人が2パターンの役替わりで演じている。持ち味は全く異なるのに、それぞれの役を魅力的に演じているのには感心した。

 主要キャストが客席へ降りて歌い、踊る「ランベス・ウォーク」が、ハッピーなノリノリ感を象徴している。7月20日まで。(平松澄子氏)