TAKARAZUKA SKY STAGE 090625 

06/25 14:00 王家に捧ぐ歌−オペラ「アイーダ」より−(東京・新人公演) オペラ「アイーダ」の宝塚版。古代エジプトを舞台に愛の葛藤を描く。'03年星組/東京・新人公演/出演:柚希礼音(ゆずき・れおん)さん、陽月華(ひづき・はな)さん 他(107分) 2003年09月30日(火)星組東京宝塚劇場新人公演 「王家に捧ぐ歌」


宝塚歌劇支局030803」より。

 星組「王家に捧ぐ歌」の新人公演が、2003年7月29日、宝塚大劇場で行われた。歌劇団期待の研5のホープ柚希礼音さんの初主演とあって、宝塚大劇場は立ち見もぎっしりの超満員。柚希さんの開幕アナウンスにファンから大きな拍手が起こるなど、客席もいつになく熱気あふれる新人公演となった。柚希さんの初主演となった今回の新人公演、開幕前の客席は、かつて一路真輝さんや麻路さきさんといったスターたちが初めて新人公演の主役をした時のような大型スター誕生を期待する熱気に包まれた。

 そんな客席の期待を跳ね返すかのように柚希さんは自信に満ちた堂々たる立ち姿で舞台に登場。課題だった歌もよく伸びて、不安を感じさせなかった。なによりすばらしいのはプレッシャーに負けない舞台人としての大らかさで、これが舞台にストレートに出たとき、オーラが輝く。ラダメス役は柚希さんにとってはぴったりの役だったようだ。ちょっと褒め過ぎのような気もするが、これに慢心せずまっすぐ育ってほしい。

 アムネリス役の陽月華さんは5月の「雨に唄えば」でヒロイン役を演じた経験をばねに大健闘した。ただ、本公演の檀れいさんが彼女のための役のようなはまり役で、美しくしかも圧倒的な存在感があるだけに、まだまだ幼さが残る。とりわけ、セリフに力がないのが弱い。

 大抜擢となったアイーダ役の麻尋しゅんさん。研2でここまでの抜擢は最近珍しい。2003年01月18日(土)〜01月24日(金)星組宝塚バウホール公演 バウ・ワークショップ『恋天狗』作:植田紳爾氏。演出:鈴木圭氏。の小天狗役に起用され、素直な演技で注目を浴びたが、今回は女役への挑戦だ。まだ男役のくせがついておらず、まるで宝塚に女優がまぎれこんだような自然な演技が新鮮だった。歌も高音がよく伸びて情感がこもっていた。柚希さん陽月さん麻尋さんのトリオによる今回の新人公演、いかにも新人公演というフレッシュさがあった。ほか、ファラオを演じた祐穂さとるさんの包み込むような演技が印象に残った。


解説= イタリアの大作曲家ヴェルディの円熟期のオペラとして有名な「アイーダ」を、宝塚バージョンとして新たな脚本、新たな音楽で1本立て豪華大作として上演。古代エジプトを舞台に、エジプトの若き将軍ラダメスとエジプト軍に捕えられ奴隷となったエチオピアの王女アイーダとの悲恋を、華やかにドラマティックに描く。

本公演のストーリー = 巨大な石壁が開き、3500年の時を経た今もなおさまよい続けるエチオピア王家の長男ウバルド(大真みらんさん)や、家臣のカマンテ(彩海早矢さん)、サウフェ(鶴美舞夕さん)たちの魂が、愚かな戦いの生贄となったラダメス(柚希礼音さん)と王女アイーダ麻尋しゅんさん)に思いを馳せる。彼らこそ清き魂の持ち主であったと…。


 古代エジプト。エジプト王国はファラオ(祐穂さとるさん)の命のもと次々と領地を拡大していた。ファラオは、イシスの神の神託によりエチオピアと戦うべく新しい将軍の名がもたらされるであろうと告げる。エジプトの若き将軍ラダメスは、もし任命されるのが自分であったらと胸を躍らせていた。それというのも、自分が選ばれエチオピアに勝利したあかつきには、エチオピアの解放を国王に願い出るつもりだったのだ。ラダメスは、今では捕らわれの身となっているエチオピアの王女アイーダに、密かに想いを寄せていたのである。そしてアイーダもまたラダメスに恋心を抱いていたが、アイーダは戦いは平和を生まず新たな戦いを生むだけだと考えていた。

 
 一方、もう1人ラダメスに想いを寄せる女性がいた。エジプトの王女アムネリス(陽月華さん)。出陣を前にラダメスがアイーダに指輪を贈るのを見たアムネリスは、ラダメスのアイーダへの想いを見て取る。形見を託されたアイーダの胸は、ラダメスへの愛と祖国への想いに揺れるのだった。

 アイーダの父、国王アモナスロ(真汐薪さん)が率いるエチオピア軍は、国境を超えテーベへと迫ってきていた。神官長ネセル(美城れんさん)が、エジプトの運命を委ねる人間はラダメスだと宣言する。ラダメスはケペル(綺華れいさん)、メレルカ(夢乃聖夏さん)らと出撃し、エジプトを勝利へと導く。

 アムネリスは、ファラオの娘であり全てを手に入れられる身分であるにも拘らず、ラダメスの心だけは手にすることが出来ないことを嘆いていた。そこへ、エジプトが大勝利を収め、アモナスロ王を捕らえたとの報がもたらされる。アムネリスはアイーダの気持ちを探り出そうと企む。祖国の敗戦を悲しみ父を気遣うアイーダに偽りの優しさを見せ近付いたアムネリスは、ラダメスが戦死したと嘘をつく。動揺したアイーダは彼を愛していると本心を吐露してしまう。それを聞き態度を豹変させたアムネリスは、身分違いの恋を激しく責め、アイーダをうちのめす。

 首都メンフィスに、華やかに凱旋する兵士たち。アイーダは捕虜の中に父親を発見し、驚く。ラダメスは勝利への褒美として捕らえたエチオピア人の解放を願い出た。そして今こそ戦いに終わりを告げ、地上に平和をと訴える。ネセルはじめ人々は反対するが、ファラオはその反対を押してラダメスの願いを聞き入れる。

 果たして、エジプトに平和は訪れるのか、負けたエチオピアはこのままでいるのか …。ラダメスとアイーダの愛は、そしてアムネリスの想いは…。


役 名 : 本公演  / 新人公演
ラダメス(エジプトの将軍): 湖月わたるさん / 柚希礼音さん
アムネリス(エジプト王女): 檀れいさん / 陽月華さん
ファラオ(エジプト王): 箙かおるさん / 祐穂さとるさん
ケペル(ラダメスの戦友): 立樹遥さん / 綺華れいさん
メレルカ(ラダメスの戦友): 柚希礼音さん / 夢乃聖夏さん
ネセル(エジプトの神官長): 英真なおきさん / 美城れんさん
神官ヘレウ : にしき愛さん / 大河睦さん
神官メウ : 高央りおさん / 天霧真世さん
女官ワーヘド : しのぶ紫さん / 南海まりさん
女官イトネーン : 朝峰ひかりさん / 真白ふありさ
女官タラーラ : 百花沙里さん / 花愛瑞穂さん
女官アルバア : 彩愛ひかるさん湖咲ひよりさん
女官アウウィル : 叶千佳さん / 仙堂花歩さん
女官ターニ : 陽月華さん / 陽色萌さん
アイーダエチオピア王女): 安蘭けいさん / 麻尋しゅんさん
アモナスロ(エチオピア王): 一樹千尋さん / 真汐薪さん
ウバルド(アイーダの兄): 汐美真帆さん / 大真みらんさん
カマンテ(エチオピアの元家臣): 真飛聖さん / 彩海早矢さん
サウフェ(エチオピアの元家臣): 涼紫央さん / 鶴美舞夕さん
ファトマ(元アイーダの侍女): 万里柚美さん / 琴まりえさん
囚人マーリス(同): 毬乃ゆいさん / 葉音りのさん
囚人フィブラーイル(同): 琴まりえさん / 音花ゆりさん
囚人イブリール(同): 陽色萌さん / 梅園紗千さん
囚人ヤナーイル(同): 仙堂花歩さん / 華美ゆうかさん
囚人マーユー(同): 南海まりさん / 花ののみさん
囚人ユーニユー(同): 花愛瑞穂さん / 成花まりんさん
伝令 : 麻園みきさん / 銀河亜未さん
伝令1 : 紫蘭ますみさん / 涼麻ともさん
伝令2 : 美稀千種さん / 凜華せらさん
伝令3 : 嶺恵斗さん / 天緒圭花さん
チオピア兵(歌手): 大真みらんさん / 七風宇海さん