さようなら さようなら白羽ゆりさん1

         
       


星組娘役トップスター時代

◇2005年9月24日(土)〜10月21日(金) 星組全国ツアー マリー・アントワネット生誕250周年記念 宝塚グランドロマン『ベルサイユのばら』〜池田理代子原作「ベルサイユのばら」より〜 脚本・演出/植田紳爾氏。演出/谷正純氏。

宝塚歌劇支局」2005年10月1日号より引用。

 湖月わたるさん白羽ゆりさん星組新トップスターコンビのお披露目公演となった「ベルサイユのばら」(池田理代子原作、植田紳爾氏脚本、演出、谷正純氏演出)「ソウル・オブ・シバ!!」(藤井大介氏作、演出)全国ツアーが、大阪・梅田芸術劇場公演からスタートした。

   


 ベルばら」4年ぶり再演シリーズの皮切りとなる全国ツアーは、湖月さん扮するフェルゼンを中心としたバージョン。

 冒頭「ふたたびばらが咲きました」と歌う小公子は麻尋しゅんさん。バラの少年、少女と共に可憐に歌う姿は美少年そのもの。ああ、また「ベルばら」が始まるんだという思いにかられる。

 幕が開くと人形のステファンを持ったフェルゼンが登場。「愛の面影」を歌い、やがて白羽アントワネットの登場となる。全国ツアーとあって装置は簡素で人数は少ないのだが衣装が豪華で、それを感じさせない。白羽さんも背筋をピンと伸ばし、張りつめたような気品が身体全体から滲み出ていかにも王妃らしい雰囲気。

 舞台は湖月フェルゼンの回想からアントワネットとの出会いとなった仮面舞踏会の場面に遡る。一目で惹かれあった2人は不倫の仲となり、次は一気に16年後、2人が逢瀬を楽しむ王宮の庭園の場面となる。なかなか大胆な時間移動だ。

 というわけで、あくまでフェルゼンとアントワネットの恋に焦点を絞った内容。このためオスカル、アンドレも2人に関係のある場面のみの登場。アンドレなど2場面のみの出場でオスカルとアンドレの見せ場であるバスティーユ広場の場面などはなく、2人の死はスウェーデンに帰ったフェルゼンを追ってやってきたジェローデルのセリフで「死にました」と説明されるだけ。オスカル・ファンにはやや物足りないかも。オスカルには涼紫央さんアンドレ立樹遥さんが扮している。

 ただフェルゼン中心のストーリーではあるものの一番の見せ場である馬車でかけつける場面も装置の関係でカットされており、メルシー伯爵(未沙のえるさん)に別れてほしいと頼まれる場面、そしてスウェーデン国王(英真なおきさん)を説得する場面と、同じような場面が続きやや退屈。ただスウェーデン王宮の場面では死んだはずのオスカルやアンドレが貴族として出演しているのを捜す楽しみ?はある。

 フェルゼン役の湖月さんは堂々とした演技で見事なフェルゼン役者ぶり。白羽さんも前半の輝く様な美しさと牢獄の場面での凛(りん)とし佇まいでアントワネットを演じきった。

 オスカルの涼さんは、すっきりした容姿で漫画から抜け出したよう。立ち回りのシャープさといい非の打ちどころがないのだが、ブロンドのカツラがいまひとつ馴染まない。ショーのさわやかな笑顔と比べてみればよく分かる。アンドレの立樹さんは短い出番ながらオスカルを想う気持ちと温かい人間性はよく出していた。

 ジェローデルに扮した麻尋さんはマントさばきはいいが役作りにやや若さが出たか。同じ若作りでもルイ16世の大真みらんさんは面白かった。

 ショー「ソウル・オブ・シバ!!」は、本公演にあったシバ神をなくし、安蘭けいさんが演じたプロデューサー、オーキッドは立樹が扮し名前もウッディーに変わるなど、大幅な役替わりと変更があった。羽山紀代美氏、若央りさ氏、平沢智氏、安寿ミラ氏、御織ゆみ乃氏といった宝塚が誇る振り付け陣の競作によるダンスシーンの連続が楽しい。ロケットガールSに鶴見舞夕(つるみ・まゆう)さんが起用され、ハツラツとしたダンスを見せたのが印象的だった。

 初日終了後、舞台裏で会見があり、湖月さんは「“ベルばら”は私たちにとっても特別ですがお客様にとっても特別の作品であることが客席の熱い反応でよくわかりました。大切に演じたい」と言えば憧れのアントワネット役に挑戦した白羽さんも「緊張しましたが湖月さんに支えられてやり遂げられました」と大役を無事終えてホッとした表情。演出の植田紳爾氏も「いいコンビが誕生した」と満足げだった。

 白羽ゆりさんは、◇2005年11月11日(金)〜 11月13日(日) 宝塚歌劇韓国公演(慶熙(きょんひ)大学「平和の殿堂」) マリー・アントワネット生誕250周年記念 宝塚グランドロマンベルサイユのばら 脚本・演出/植田紳爾氏。演出/谷正純氏。 マリー・アントワネット  併演はショーソウル・オブ・シバ!!』−夢のシューズを履いた舞神−」   ◇2006年1月1日(日)〜2月6日(月) 星組宝塚大劇場公演 2006年2月17日(金)〜4月2日(日) 星組東京宝塚劇場公演 マリー・アントワネット生誕250周年記念 三井住友VISAシアター 宝塚グランドロマンベルサイユのばら  マリー・アントワネット   ◇2006年6月3日(土)〜6月19日(月) 星組梅田芸術劇場メインホール公演、ミュージカル『コパカバーナ サマンサ/ローラ(二役)   ◇2006年8月11日(金)〜9月18日(月) 星組宝塚大劇場公演、2006年10月6日(金)〜11月12日(日) 星組東京宝塚劇場公演 ミュージカル『愛するには短すぎる』 原案/小林公平氏。脚本・演出/正塚晴彦氏。バーバラ役   ロマンチック・レビュー 『ネオ・ダンディズム!』−男の美学− 作・演出/岡田敬ニ氏。 


宝塚歌劇支局」より。

 日韓国交正常化40周年を記念した宝塚歌劇団初の韓国公演(韓国観光公社など主催)が、2005年11月11日から13日までソウル市内の慶煕(キョンヒ)大学「平和の殿堂」で開催された。今回は、星組のトップスター、湖月わたるさんら37人が華やかなレビューを繰り広げた。ソウル市北東部、慶煕大学の構内にある「平和の殿堂」は、パリのノートルダム寺院を模したゴシック風の豪華なホール。市街地からやや離れているが、今回の目玉であるフランス革命を背景にした「ベルサイユのばら」上演にはうってつけのシチュエーション。初日には原作者の池田理代子さんら日本からのツアー客、現地のファンらが続々とつめかけ、定刻までに広い会場は約2700人でほぼ満員。現地での期待の大きさがうかがえた。原作は韓国でもよく知られており、加えて舞台両脇には韓国語字幕もあって反応は上々。

   

白羽ゆりさん扮する王妃マリー・アントワネットが断頭台の露と消えるラストシーンが終わると大きな拍手に包まれた。休憩中の現地ファンの反応も「全員が女性が演じているのは新鮮だった」(26歳男性)「期待以上に豪華ですばらしかった」(22歳学生)など好意的だった。


宝塚歌劇支局」より。

 2006年11月12日(『愛するには短すぎる』『ネオ・ダンディズム』東京公演千秋楽)付にて退団する星組のトップスター、湖月わたるが主演するミュージカル「コパカバーナ」が6月3日開幕した(2006年6月3日(土)〜6月19日(月) 梅田芸術劇場メインホール公演)。「コパカバーナ」は人気ポップシンガー、バリー・マニロウ作曲のおなじみのヒット曲に乗せて繰り広げるミュージカルレビュー。

 幕があがると舞台中央にはオーケストラ。指揮者が現れて演奏が始まると、下手に湖月さん扮するシンガーソングライター、スティーブンが登場。曲づくりのアイデアを歌う歌がそのままミュージカルナンバーに展開していく。なかなかテンポのあるオープニングで、快調な滑り出し。

 それをきっかけにスティーブンの作詞、作曲するレビューの世界が劇中劇として進行していく。売れないソングライターのトニーとスターを夢見るローラのラブストーリーに、ギャングのボスがからんで展開する典型的なミュージカルコメディー。次々に展開する華やかなナイトクラブのショーシーンがみどころだ。ブロードウェーで活躍している中国系のダンサー、ダレン・リーの振り付けはオーソドックスだが、切れがあって…みていて心地よい。湖月さんと相手役の白羽ゆりさんとのコンビも息ぴったり。オーディションの場面のデュエットが楽しい。