「チョコレート・ファイター」すごく いい予感

 ☆☆☆大昔wに「燃えよドラゴン」の予告編を観たとき以来の衝撃を受けた。☆☆☆ 

 予告編(動画)が公開されるや、そのあどけなさの残るルックスからは予想もつかないリアルかつアクロバティックな本格アクションを披露し、たちまち世界中の映画ファン注目の的となった無名の新人ヒロイン“ジージャー”が放つ驚異の格闘アクション・ムービー。主演のジージャーことヤーニン・ウィサミタナンは、「マッハ!」でトニー・ジャーを世に送り出したタイのプラッチャヤー・ピンゲーオ監督が4年の歳月をかけて基礎から育て上げたというアクション界期待のニュー・ヒロイン。共演は「チーム・バチスタの栄光」「歩いても 歩いても」の阿部寛
 日本の大物ヤクザ、マサシとタイ人女性ジンを両親に持つゼン自閉症の彼女はチョコレートとアクション映画が大好きな女の子。たぐいまれな身体能力で、ビデオで一度観たアクションをすぐに自分の技にしてしまう。美しく成長したゼンはある日、最愛の母ジンが白血病に冒されていることを知る。多額の治療費を工面するため、ジンの手帳に記されたリストを頼りに、彼女が金を貸している人々を訪ねて金を回収してまわろうとするゼンだったが…。


チョコレート・ファイター』 

 あの『マッハ!!!!!!!!』(03)、で一夜にして世界中をムエタイ・アクション・ムービーの虜にしたプラッチヤヤー・ピンゲーオ監督が、続く『トム・ヤム・クン!』(05)以来実に3年ぶりに完成した入魂の最新作が、『チョコレート・ファイター』だ。地元タイでは、封切られるなり『マッハ!』の動員記録を塗り替えたばかりか、同年公開の『レッドクリフPart1』の2倍以上の興行収入まで挙げるミラクル大ヒット! 以来「ChocoLte」の原題で東洋、そして西洋にまで噂が駆け巡ってきた話題作が、ついに日本に上陸する。
前2作ではタイのナンバーワン・アクション・スター、トニー・ジャーを主演に迎えてマッチョなヒーローの物語を展開したピンゲーオ監督だが、今作の主人公はなんと、無敵のスーパーパワーに恵まれた美少女。日本人ヤクザの父とタイ人の母の間に生まれゼン(禅)と名づけられたヒロインが、ボールからナイフまで、飛来するどんなものたりとも瞬時に掴み取る常人離
れした反射神経と、目にもとまらぬスピードで繰り出されるハイキックの嵐、そして限りなく柔軟な身体運動能力で、屈強な男たち、女たちをバッタバッタとなぎ倒していく。。
 
 ミシェル・ヨー志穂美悦子チャン・ツィイーも真つ青のこのスーパー・ヒロィンを演じたのは、愛称「ジージャー」ことヤーニン・ウィサミタナン。『チョコレートロファイター』に主演するまではまったく無名の一少女にすぎなかったが、本作での主演デビューによって、いきなり卜ニー・ジャーとともにタイを代表する新時代のアクション・スターとして世界に名を轟かすに至った。
 
 1984年生まれの彼女は幼い頃体が弱かったため、11歳にしてテコンドーを開始。たちまちの内に才覚を顕し、高校時代には大会で金メダルを獲得したほど。そんな彼女が映画デビューするきっかけは、本作でアクション指導を担当しているパンナー・リットグライが監督として準備中だった『七人のマッハ!!!!!!!(04年)』のオーディションを受けに来たこと。その姿がパンナーと、同作ではプロデューサーを務めていたピンゲーオ監督らの目に留まり、基礎訓練に4年間を費やしついに『チョコレート・ファイター』のヒロインとして華々しく世にデビューを飾った。
 
 これまでの女性アクション・スターと彼女が決定的に異なるのは、見た目である。体格は華奢で、顔立ちも知的な優しさに満ち、とてもそこからトニー・ジャージェット・リー顔負けの最強武術が繰り出されるとは想像もつかないこと。しかしこの意外感こそ、まさにピンゲーオ監督の求めていたものだった。そしてそこから自閉症でありながら、いざ戦うと誰よりも強いという、本作独自のヒロインのキヤラクターが生み出されていった。
単にファイトを連発するだけではないその硬柔併せ持つ演技で、彼女はアジアを代表する
新時代女優としても圧倒的な評価を獲得。アジア映画界のアカデミー賞と言われるアジア・フ
ィルム・アワードで、『花より男子フアイナル』の松田翔太らとともに最優秀新人俳優賞にノミネートされている。

 新人ジージャーをサポートする共演陣、そしてスタッフには、タイとアジアから最強の実力者たちが勢揃いした。ヒロイン・ゼンの父親役マサシを演ずるのは、『歩いても歩いても』『青い鳥』など、出演作が目自押しの阿部寛。「『マッハ!』を見て、たちまちプラッチヤヤー・ピンゲーオ監督のファンになっていた」と言う彼は、本作への出演を快諾。不死身の屈強なヤクザでありつつ、傷ついたものに惹かれていく生来の性格から、敵対するタイ・マフィアの女との秘められた恋に落ちる、という複雑な設定のキャラクターを、激しいアクションと濡れ場を交えて熱演している。一方、彼と禁断の恋に落ち、やがてヒロインとなる娘を身籠るものの、彼のためを思って女手一つで娘を産み育てていく母親ジン役に扮するのは、歌手として高名な人気スター、“ソム”アマラー・シリポン。不治の病を患いながら終始勇敢に、威厳をもって生きる女性像を、映画初出演とは思えない説得力で演じあげた。
 そしてマサシと対立するタイ・マフィアのボス“ナンバー8”を演じるのは、タイ映画ファンにはおなじみの名スター、ポンパット・ワチラバンジョン(『風の前奏曲』)。2007年には『ミー・マイセルフ私の彼の秘密』で監督デビューも果たし、昨年日本公開されて絶賛された。
 
 またヒロインがナンバー8一派と戦う終盤部分では、世界各地から集められた実際のムエタイ・チャンピオンたちがナンバー8の手下として登場し、ジージャーとリアルで過酷な死闘を展開するのも見もの。
 
 彼ら役者障を支えるスタッフも、ピンゲーオ作品ならではの超一流な布陣。アクション指導には、『マッハ!』『トム・ヤムロクン!』でもピンゲーオ監督と組み、独自のタイ・アクション映画美学を確立したパンナー・リットグライ。撮影は、『レイン』『the EYE<アイ>』、そして『レイン』をニコラス・ケイジ主演でリメイクしたハリウッド映画『バンコック・デンジヤラス』までパン兄弟作品を中心にスタイリッシュかつシュール・リアルな撮影で定評を得てきたデーチヤー・スィーマントラが担当。躍動的なカメラ・ムーブメントと効果的な備限を交えて、パン兄弟作品とは対極的に徹頭徹尾“リアル”なピンゲーオロワールドを造形している。また共同脚本を、『レベル・サーティーン』『サイアム・スクエア』などの監督作品でタイ映画ニューウェイブ最若手の旗手として世界に名を馳せるチューキアット・サックヴィーラクンが担当している。

 ストーリー=日本ヤクザとナンバー8(ポンパット・ワチラバンジョン)率いる、現地最大マフィアとの抗争が激化する十数年前のタイ。日本ヤクザの大物、マサシ(F可部寛)はナンバー8の女、ジン(“ソム”アマラー・シリポン)と運命的な恋に落ちる。やがてジンを深く愛したマサシはナンバー8の目の前で彼女をさらっていくが、ジンはマサシの身を案じて帰国を勧める。しかしその時既に、ジンはマサシの子供を宿していたのだった。マサシの帰国後、ジンは一人で子供を出産。生まれた女の子はマサシの母国日本にちなみゼン(禅)と名付けられる。マサシとジンの容姿を受け継ぎ美しく生まれたゼンだが自開症を患い、脳の発達が遅かった。だがジンは、マサシとの愛の結晶であるゼンに心からの愛情を注ぎ、二人は質素ながら幸せに暮らす。
やがて美しく成長したゼン(ジージヤー)は、他の子供とは違う並外れた身体能力を持っていた。アクションのビデオを見ただけで、その技を習得できるのである。ブルース・リーや卜二ー・ジャーなどのアクションスターの映画から次々と技を吸収し、幼なじみのムン(タポン・ポップワンディー)を相手にゼンはひそかに練習に励んでいた。

 しかし、そんなゼンに突然の不幸が訪れる。最愛の母が末期の自血病に侵されていることが発覚したのだ。だが治療にかかる多額の費用を工面する手立てはない。そんな時、かってジンがお金を貸していた記録を見つけたムンは、そのリストにある人々からお金を返してもらうことを思いつく。リストにある人間のもとを訪れるゼンとムンだが、彼らが素直にお金を返すわけもなく、手荒く追い返される。しかし愛する母を助けるため、これまで磨いた武術でゼンは彼らに立ち向かっていく。男たちは刃物を使い次々と襲いかかってくるが、傷だらけになりながらもゼンは彼らを倒し、無事お金を取り戻す。だが、自分のシマでの勝手な行動を許さないナンバー8に目を付けられ、ムンとジンが捕らわれてしまうのだった。
二人を救出すべく、ゼンは一人でナンバー8のアジトヘ向かう。しかし、そこにはなんと、生き別れになつた父、マサシの姿があつた。愛する妻と娘の危機を知つたマサシは、命の危険も顧みず十数年振りにタイヘと戻ってきたのである。
そしていま、ナンバー8とゼンー家との戦いがクライマックスを迎える!。

スタッフ=製作・配給会社:サハモンコンフィルム・インターナショナル/製作総指揮:ソムサック・テーチャラタナプラスート/製作:プラッチヤヤー・ピンゲーオ、パンナー・リットグライ、スカシヤー・ウォンサターパット/監督:プラッチヤヤー・ピンゲーオ/アクション監督:パンナー・リットグライ/脚本:ネパリー、チューキアット・サックヴィーラクン/撮影:デーチヤー・スィーマントラ/美術:ラッチヤタ・パンパヤック/アート・ディレクター:ノッポン・グーットシン/衣裳:エカシット・ミープラスーットサクン/編集:ラーチエン・リムタラクーン、パポン・スラサクンワット