0401[宝塚][宙組][星組][雪組]宝塚のトップスタ− 交代劇続々


読売新聞より引用と参考。 

 宝塚歌劇団では今年、星、宙(そら)組のトップスターコンビと、雪組の娘役トップスターがそれぞれ交代する。7月まで、東京宝塚劇場などで相次ぎ退団公演が行われる。(坂成美保)

 「トップに決まった時から、いつかこの時が来ると覚悟していました」

 2009年4月17日から宝塚大劇場での退団公演「薔薇(ばら)に降る雨」「Amour それは…」に臨む宙組大和悠河(やまと・ゆうが)さんは、そう話す。

 退団を決意したのは2008年7月、「雨に唄(うた)えば」の公演中だったという。全員で作り上げる楽しさと充実感を味わった作品。「ゴールを決めて自分を奮い立たせ、力を凝縮して全力疾走してみよう」と自然に思えた。

 1995年、阪神大震災で休演を余儀なくされた後の、大劇場の再開公演が初舞台。ラインダンスを踊り、「こんな時でも、お客様はちゃんと見に来て下さる。この拍手を絶対に忘れない」と心に誓った。

 妖精のようなオーラを放ち、早くから大役に抜てきされた。月組のころは「壁にぶち当たり、もがいた」というが、「ひたすら前を向くしかない」と自分に言い聞かせ、走り続けてきた。

 2008年1月には相手役の陽月華(ひづき・はな)さんが、けいこ中に足首を骨折して休演。復帰作「パラダイス・プリンス」(東京11〜12月)では、息のあった演技を見せた。

 2009年2月に名古屋・中日劇場で上演された「外伝 ベルサイユのばらアンドレ編―」。「深い愛情でオスカルを見守る男に新しい命を吹き込みたい」との意気込みで、アンドレ役を演じきった。

 「(後輩たちには)歴史の重みを感じ、宝塚の舞台に立っていることを誇りに思い、成長してほしい」と、その思いを託す。

 東京宝塚劇場では2009年6月5日〜7月5日上演。


2009年4月限り 安蘭さん と遠野さん 円熟の魅力満載
 2008年、「スカーレット・ピンパーネル」旋風を巻き起こした星組コンビ、安蘭けい(あらん・けい)さんと遠野あすか(とおの・あすか)さんの退団公演「マイ・ディア・ニューオリンズ―愛する我が街―」が3月27日から東京宝塚劇場で始まった(4月26日まで)。歌にダンスに芝居に円熟味を増した2人の魅力が満載されている。

 1920年代の米・ニューオーリンズ。ミュージシャンとして成功したジョイ(安蘭さん)は久しぶりに帰郷し、ヒット曲「スイート・ブラックバード」にまつわる思い出に浸る。10年前、ジョイは街の有力者(立樹遥さん)の愛人ルル(遠野さん)と恋に落ち、自作の歌をささげたが結ばれなかった。

 心情のひだや陰影をにじませ、ダークヒーローからコメディアンまで役の幅が広い安蘭さん、清純な女性だけでなく、女海賊や悪女といったアクの強い役柄もこなす遠野さんは共に演技派。大人の男女の愛を描けるコンビだった。歌を主軸とする本作では改めて歌唱力の高さも実感させられる。

 テーマ曲「ミュージック・イズ・マイ・ライフ」は、安蘭さん と遠野さん のソロが二重唱になり、さらにルルの弟役の次期トップスタ−、柚希礼音(ゆずき・れおん)さんを加えた三重唱へ。2人に立樹と次期娘役トップスタ−、夢咲ねね(ゆめさき・ねね)さんが絡む四重唱も哀感に満ち、胸に迫る。

 タップダンスやゴスペル風の大合唱も盛り込んだバラエティー豊かな構成。音楽の力を信じ、ニューヨークへと旅立つ主人公のせりふに、安蘭さんの舞台人生が二重写しになり、退団記念にふさわしい快作だ。作・演出は植田景子氏。

 藤井大介氏作・演出によるレビュー「ア・ビヤント」はストーリー性を重視したファンタジー。「モン・パリ」「すみれの花咲く頃」などおなじみの宝塚ソングとフレンチカンカンの踊りが郷愁を誘う。

「退団後の活躍楽しみ」
 演劇・映画評論家の萩尾瞳さんに、今後の展望などについて聞いた。

 5年後の100周年に向け、宝塚は年功序列よりスターシステムを重視する傾向に変わりつつある。素質重視に改革した宝塚音楽学校の入試もその表れ。トップが若返り、新鮮なスターが育つのは観客にも望ましい。退団する5人はいずれも実力派。これからの活躍が楽しみだ。

 安蘭さん遠野さん は安定感があり役の幅が広かった。後任の柚希さん・夢咲さんは得意のダンスの見せ場を組み込んだ作品でフレッシュな魅力を振りまいてくれるだろう。

 資質に恵まれた大和さん、軽やかな現代性を持つ陽月さん のコンビはもっと見たかった。陽月さん のけがが惜しまれる。大空祐飛(おおぞら・ゆうひ)さんと野々すみ花(のの・すみか)さんは、共に演技派。昨年の「銀ちゃんの恋」での熱演が印象深い。「太王四神記(たいおうしじんき)」では大空さんのクールな一面が引き出された。

 雪組白羽ゆり(しらはね・ゆり)さんは伝統的娘役のDNAを受け継ぎながら現代的な役柄もこなした。「カラマーゾフの兄弟」では殻を破った大胆な演技で「娘」ではなく「女」の切なさを表現した。愛原実花(あいはら・みか)さんはダンスも芝居もうまくて将来性がある。

現在のトップスターコンビ(かっこ内は就任年)
花組真飛聖(まとぶ・せい)さん(08) 桜乃彩音(さくらの・あやね)さん(06)
月組瀬奈じゅん(せな・じゅん)さん(05) ※娘役トップスターは彩乃かなみ(あやの・かなみ)さんが08年7月に退団後、空席。
雪組水夏希(みず・なつき)さん(07) 白羽ゆり(しらはね・ゆり)さん(05星組、07から雪組)5月退団。後任は愛原実花さん。
星組安蘭けい(あらん・けい)さん(06)4月退団。後任は柚希礼音(ゆずき・れおん)さん。 遠野あすか(とおの・あすか)さん(06)4月退団。後任は夢咲ねね(ゆめさき・ねね)さん。
宙組大和悠河(やまと・ゆうが)さん(07)7月退団。後任は大空祐飛(おおぞら・ゆうひ)さん。 陽月華(ひづき・はな)さん(07)7月退団。後任は野々すみ花(のの・すみか)さん。