東京地検特捜部の思惑は なぜ政治家(会計責任者)の一斉逮捕をしないのか3 

日経新聞より引用

 政府高官西松建設の巨額献金事件に絡み「自民党に及ぶことは絶対ない。金額が違う」などと発言したことに6日午前、与野党から問題視する声が相次いだ。民主党鳩山由紀夫幹事長は都内で記者団に「献金額の多寡の問題ではない。検察側と政府筋との間で出来レースがあると思わざるをえない」と厳しく批判した。

 一方、自民党役員連絡会でも出席者から「わかったようなことを言うべきではない」との批判が出た。細田博之幹事長は役員連絡会後の記者会見で「実態はわからない。そう言うことはおかしい」と発言は不適切との認識を表明。笹川尭総務会長は記者会見で「原則として政治は検察に介入しない。検察も政治に介入しない」と述べた。

朝日新聞より引用

 政府高官は5日、西松建設の違法献金事件について、首相官邸で記者団に「自民党側は立件できないと思う。特に(違法性の)認識の問題で出来ないだろう」と述べ、自民党議員に捜査は拡大しないとの認識を示した。民主党は小沢代表の公設第1秘書の逮捕を「不公正な国家権力の行使だ」と批判しており、政府高官が捜査の見通しに言及したことは、波紋を広げる可能性もある。高官は同夜、「(議員側に)西松建設から献金を受けた認識があるという傍証がない限り(立件は)難しいという意味だった」と釈明した。

 自民党側では森元首相や二階経済産業相山口俊一首相補佐官らが、西松建設OBが代表を務める政治団体から献金やパーティー券の購入を受けている。

毎日新聞から引用 

 政府高官は5日、西松建設献金事件に関して、「この件で(東京地検が)自民党の方までやることはないと思う」と述べ、自民党関係者の立件には踏み込まないとの見通しを示した。政治家が絡む事件で、政府高官が捜査の見通しについて言及するのは極めて異例。

 西松建設側からの献金やパーティー券の購入など資金提供先には、自民党森喜朗元首相、尾身幸次財務相二階俊博経済産業相、加納時男副国土交通相山口俊一首相補佐官らが含まれている。

 高官は「自民党の方は金額が違いますから。西松からの献金という認識があったというのは難しいと思う。(小沢一郎民主党代表の件は請求書や領収書などの物証だけで)やっているんじゃないでしょう」とも述べた。

政府高官という書き方が、日本のジャナーリズムの限界なのである。政府高官=内閣官房長官ではないのか、そうなれば河村 建夫(かわむら・たけお)官房長官か?彼は4日に次のように述べている。(読売新聞)

 河村官房長官は4日の記者会見で、西松建設OBが代表を務める政治団体自民党二階派(会長・二階経済産業相)のパーティー券を購入し、山口俊一首相補佐官資金管理団体にも献金していたことについて、「(どちらも)問題ないということだった」と述べ、問題視しない考えを示した。 河村長官は、山口氏については本人から聴取し、「必要に応じ、説明してほしい」と指示した。二階氏からは秘書官を通じて説明があったという。
 これに関連し、山口氏は4日、記者団に「捜査の状況を見て、資金の違法性が高いと認定されれば、返還も考える」と語った。
 政治資金収支報告書によると、二階派は問題となった政治団体にパーティー券を838万円購入してもらっていた。山口氏の資金管理団体は200万円の政治献金を受け取っていた。


読売新聞より引用

 民主党の小沢代表の公設秘書が政治資金規正法違反容疑で逮捕された事件に関し、森法相は6日午前の参院予算委員会で、小沢氏らが東京地検の捜査の公正性を批判していることに対し「政治的意図を持って捜査を行うことは決してあり得ない」と反論した。

 自民党の岩永浩美参院議員の質問に答えた。

 法相は「検察当局はこれまで常に、法と証拠に基づいて不偏不党かつ厳正公平を旨として、捜査対象が誰であれ、刑事事件として取り上げるべきものがあれば、適切に対処してきている」と述べた。また、河村官房長官も「日本は成熟した法治国家であり、政治的な意図を持って捜査を行うことはあり得ない」と断言した。

 この答弁に対し、民主党の委員からは「政府高官とは誰だ」とヤジが飛んだ。5日に政府筋が西松建設の違法献金事件について「自民党の方にまで波及する可能性はないと思う」と述べたことを指したものだ。民主党鳩山幹事長も6日午前、この政府筋の発言について「検察側と政府筋との間に出来レースがあると思わざるを得ない。だからこそ、なぜ衆院選の直前に小沢氏の事務所だけなのか、大変強い疑念を感じている」と記者団に語った。

 この事件の最初から指摘している通り、マスコミや自民党サイドが流布している寄付の額が多いから逮捕で少額なら見送りとかの問題ではない。東京地検が(表面上)言っているのは2つの政治団体が架空(ダミー)の政治団体だから、そこからの寄付は「虚偽」であり、それを収支報告書に記載したのが「虚偽記載」として逮捕要件になっているのだ。西松建設公共工事の受注に小沢氏側から便宜を働きかけるようにしたかどうかは別次元の話しである。
 その便宜供応で逮捕されていないのだから小沢氏が見解の違いと反論するのは今の時点では正論といえる。ゆえにゆえに、この2つの怪しい政治団体から寄付やパーティ券を購入してもらった政治家の事務所会計責任者は額の多少とは関係なく1円でも記載した者は平等に公正に逮捕されなければならないと考える。

同じ意見の方 → 西松献金事件―「自民議員立件は無理」政府高官の捜査介入 


 政治は権力闘争である。権力を握ったものが司法の人事も決定できるのである。だから「三権分立」とか検察は政治に介入しないと、したり顔で記者にはなし、それを読者に垂れ流すのが報道としたら、やはりこの国の未来は寒々しいものといえる。54年に1度の政権交代(2大政党間でという意味)を目前にしての、ほんの小さな犯罪で「政争」を作り出すことができる。歴史をあとから検証してみたら、「不都合な真実」なのかもしれない。

産経新聞より引用

 民主党小沢一郎代表の秘書が政治資金規正法違反容疑で逮捕された事件で、小沢氏が「不公正な国家権力の行使だ」と非難していることについて、河村建夫官房長官は6日午前の参院予算委員会で、「日本は成熟した法治国家であり、政治的意図を持って捜査したり、政府がそういうことを考えるのはあり得ない」と述べ、小沢氏の主張に不快感を示した。
 森英介法相も「これまで検察当局は法と証拠に基づき、捜査の対象がどなたであれ、刑事事件として取り上げるべきものは適切に対処してきた」と述べ、捜査は適正に行われているとの認識を示した。
 甘利明行革担当相は「検察は政府から独立した捜査機関だ。国策捜査が行われると固く信じる政党が政権を取ったら相手の党はたまったもんじゃない」と述べ小沢氏の対応を批判した。
 
 一方、自民党にも不正な政治献金を受けた疑いのある議員がいることについて、野田聖子消費者行政担当相は「党に関係なく、かかわった議員は個人の判断でしっかり説明を果たすべきだ」と強調。
 石破茂農水相も「われわれも自重自戒しなければならず、敵失に乗じてなどと考えては絶対ならない」と述べ、与党に広がる高揚感を戒めた。

産経新聞より引用

 小沢一郎民主党代表の資金管理団体陸山会」が、準大手ゼネコン「西松建設」(東京)から事実上の企業献金を受けていた政治資金規正法違反事件で、東京地検特捜部は5日、西松に多額のパーティー券を購入させていた自民党二階俊博経済産業相側の政治団体についても、規正法違反容疑で捜査する方針を固めたもようだ。捜査関係者によると、特捜部は二階氏側が小沢氏側に次ぐ金額だった点を重視。二階氏側の会計責任者らから事情聴取を行う方針とみられ、来週にも特捜部以外から応援を得て検事を増員するという。

 陸山会の会計責任者で小沢氏の公設第1秘書、大久保隆規容疑者(47)を逮捕した特捜部は、強制捜査に踏み切った理由の一つとして、小沢氏側への献金額が突出している点を挙げた。
 だが、検察関係者によると、特捜部では二階氏側は金額が小沢氏側に及ばないものの、他の自民党議員側より多く、「新政治問題研究会」(新政研)など2つの政治団体が西松のダミーで、パーティー券の購入は事実上西松だったことを認識していた疑いもあると判断したとみられる。