本当に大丈夫か?

2009年3月3日

お客様各位

アリコジャパンからのお知らせ

弊社の米国本店、アメリカン・ライフ・インシュアランス・カンパニー(通称アリコ)の株主であるAIG, Inc.は、3月2日付で、米国財務省、米国連邦準備制度理事会(FRB)との間で新たな公的支援策を受けることで合意にいたりました。

この合意のもと、ニューヨーク連邦準備銀行(NY連銀)が優先株式を新たに保有する形でアリコの運営が行われることになりました。

これにより、アリコは、この度のAIGの事業再編計画の趣旨に沿い、より事業価値を高めつつ、AIGグループから独立した事業体として業務を行っていくことを目指すことになります。その過程の中で、市場の環境を考慮しながら、現状における株式譲渡先候補からの提案ならびに株式の公開等もあわせて検討が行われていく予定です。

今後、株主の選定等、具体的な進展がありましたら、あらためてお知らせ申し上げます。

アリコジャパンは1973年に外資系生命保険会社第1号として営業を開始して以来、36年にわたり皆様にご信頼いただいてまいりました。今後も、より一層事業基盤の強化を図り、お客様にさらに信頼され、ご支持いただけるよう努めてまいります。

弊社は日本の保険業法に基づき、金融庁の監督のもとで保険業務を営んでおり、株主の変更等によるお客様のご契約の変更はございません。また、保険金・給付金等をお支払いするための原資は保険業法に基づき責任準備金として適正に積み立てておりますので、お客様への保険金・給付金等のお支払いに支障はございません。どうぞご安心ください。

今後とも、お客様のニーズにあった商品やご期待を超えるサービスを提供してまいりますので、変わらぬご愛顧を賜りますようお願い申し上げます。

アメリカン・ライフ・インシュアランス・カンパニー
アリコジャパン

 上記では100%補償とは述べていない。

責任準備金とは、保険会社が被保険者に対して将来の保険金支払いを担保するために積み立てなければならない準備金のこと。
責任準備金は、保険業法によって積み立てが義務づけられている。
保険料は、その一部が付加保険料として差し引かれ、残りが責任準備金となる。
責任準備金は保険会社が金融商品等で運用することとなり、この運用益相当は保険料に調整される。
万一生命保険会社が破たんした際には「保険契約者保護機構」により、責任準備金の9割までが補償されることになっている。

「保険契約者保護機構」は、保険会社が破綻した時の契約者保護を目的として平成10年12月に設立されました。
保険契約者保護機構には、生命保険会社が加入する 「生命保険契約者保護機構」と、損害保険が加入する「損害保険契約者保護機構」とがあります。

保険会社が破綻した場合には、破綻保険会社から救済保険会社または「保険契約者保護機構」に保険契約が移されます。その時、「将来の保険金や年金、給付金等を支払うために積み立てている準備金(=責任準備金)」をベースに補償限度額が次のように決まります。

生命保険の場合
全ての種類の保険について責任準備金の90%を補償。残りの10%は、更正計画などにより変わります。

郵便局の簡易生命保険は「簡易生命保険法」により国が支払を保証しています。

損害保険
自賠責保険地震保険は責任準備金の100%を補償。
自動車保険、傷害保険、火災保険(保険契約者が個人や中小企業などの場合)などは責任準備金の90%を補償。

また、保険契約が移される時、予定利率の変更など契約条件が変更されることもあり、結果として保険金額などの補償割合が、責任準備金の補償割合を下回ることも起こりえます。

○つまり、90%補償は確実だけど、そうだからといってアリコが破産しないとはいえないということだ。

[ニューヨーク 2日 ロイター] 米保険大手のアメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)(AIG.N: 株価, 企業情報, レポート)が2日発表した第4・四半期決算は純損失が617億ドルに達した。

 同社に対しては、破たんさせた場合、世界の金融システムが脅かされる可能性があるとして、財務省と連邦準備理事会(FRB)が300億ドルの追加支援を決めたが、この支援が必ずしも最終的なものになるかは不透明だ。

 AIGに対する支援額は昨年すでに1500億ドル規模になっており、政府の出資比率は80%近い。

 今回の追加支援は、AIGを存続させ、AIGが多額の資金手当てを迫られることになる格下げを回避することが狙い。

 ガーマン・リサーチのLLCのクリストファー・ガーマン氏は「財務省が現在の市場環境とシステミックな金融崩壊の脅威の間に立つことを強く想起させる措置だ」と述べた。

 ギブズ大統領報道官は、金融システムを一段の脅威にさらすことを回避する上で「今回の措置は重要だった」と述べた。

 財務省FRBも共同声明で「AIGがもたらしているシステミックリスクと今日の金融市場のぜい弱性を考慮すると、政府が支援しない場合の経済と納税者が被る潜在的なコストは非常に高いものになるだろう」と指摘した。

 政府は先月、シティグループ(C.N: 株価, 企業情報, レポート)に対しても追加支援策として保有するシティの優先株普通株へ転換するとする発表していた。

 米通貨監査局(OCC)のデューガン長官は記者団に対し、AIGの状況がそのまま銀行救済の定型とはならないと指摘した。

 <大量出血>

 AIGの第4・四半期の1株損失は22.95ドルとなり、前年同期の1株損失2.08ドルから拡大した。大半がクレジット・デリバティブスワップCDS)関連などの損失だった。トムソン・ロイターによると、損失額は1分当たりに換算すると46万5000ドルとなり、米企業史上で最大。

 2008年通期の損失は992億9000万ドルで90年代初めまでの利益が消失した格好。またこの額はクウェート国内総生産(GDP)に匹敵する。

 AIGモーリス・グリーンバーグ氏やマーチン・サリバン氏が最高経営責任者(CEO)だった当時にCDS事業を拡大した。

 2日の株式市場でAIGの変わらずの0.42ドルで引けた。2017年償還の社債(表面利率5.45%)価格(額面1ドル当たり)は0.08ドル高の0.53ドルとなり、利回りは15.9%に低下した。

 <システミックリスク>

 政府による追加支援により、AIGの資金調達の条件が緩和される。AIGは、政府向けに一部の債務を子会社のアメリカン・インターナショナル・アシュアランス・カンパニー(AIA)と生保アリコ(アメリカン・ライフ・インシュアランス・カンパニー)の優先株に転換する。両子会社は大規模なアジア事業を有している。

 AIGはまた、損害保険事業の一部をスピンオフ(分離・独立)し、AIUホールディングスと名称を変更する計画。

 政府は、今回の追加支援がAIGにとって最後の支援にならない可能性があるとの認識を示し、AIGの問題解決には「時間がかかり、市場が安定化し、状況が改善しなければ、政府の追加支援」が必要になる可能性があると指摘した。

 政府は昨年9月、オールステート(ALL.N: 株価, 企業情報, レポート)の元最高経営責任者(CEO)、エドワード・リディ氏をAIGのCEOに指名した。

 リディCEOは電話会議で、AIGはこれまで通り事業を行うには「あまりに複雑で非効率的かつ不透明」になり過ぎたと語った。

 <よりどころは他にない>

 独立系調査会社グラディエント・アナリティックスのアナリスト、ドン・ビックレー氏は、政府によるAIG救済の規模が最終的に2500億ドルに達し、そのほとんどが返済されない可能性があるとの見方を示した。

 同氏は「AIGは実際、頼れる場所が他にない」と指摘した。

 主要格付け機関AIGの格付けを「A」カテゴリーで据え置いた。

 ムーディーズ・インベスターズ・サービスのアナリスト、ブルース・バレンタイン氏は、AIGが、深刻なリセッション(景気後退)と市場の混乱に見舞われているこの時期に確実に債務を履行できるよう、必要に応じて政府が追加支援を提供することを期待していると語った。

American International Group, Inc. (アメリカンインターナショナルグループ;AIG) はアメリカ合衆国ニューヨークに本拠を置く保険会社。2006年末において、130以上の国・地域で事業を展開し、約106,000人の従業員を有している。

日本国内傘下会社
アリコジャパンアメリカン・ライフ・インシュアランス・カンパニー日本支社)
AIGスター生命保険 - 生命保険。千代田生命の営業を承継。
AIGエジソン生命保険 - 生命保険。東邦生命の営業を承継。
AIU保険会社
アメリカンホーム保険会社アメリカンホームダイレクト)
ジェイアイ傷害火災保険 - 50%出資。JTBグループとの合弁会社


アメリカンホーム保険会社アメリカンホームほけんがいしゃ、American Home Assurance Company)はアメリカ合衆国ニューヨーク市に本部を置くAIGアメリカン・インターナショナル・グループ)傘下の損害保険会社。

日本では、通信販売の保険会社「アメリカンホーム・ダイレクト」として知られている。

「あと数年もすれば、問題の本質は米国のサブプライムローン危機や住宅バブルではなく、一流と呼ばれる金融機関のリスク管理体制があまりにずさんだったということになっているだろう」と、米デューク大学フュークワ経営大学院のキャンベル・ハービー教授(金融論)は言う。

 こうして窮地にはまったAIGの事例から、典型的なリスク管理の失敗の教訓を何らかの形で生かすとしたら、シフ氏の言う「保険の基本」に立ち返ることだ。リスクの分散こそ保険会社の仕事である。地震保険を引き受ける場合、カリフォルニア州だけで引き受けたりはしないだろう。そんなことをすれば、たった1度の地震で事態が急変するようなリスクに事業全体をさらすことになる。

 AIGはそうした心得を無視して、サブプライムローンで上記の地震保険の例さながらの危険な賭けを行っていたようだ。少なくとも2005年までは、AIGの様々な事業部門で、サブプライムローンの引き受け、借り手への不動産ローン保険の販売、サブプライム関連の債務担保証券CDO)のデリバティブ取引、保険預かり金の住宅ローン担保証券MBS)への投資など、サブプライム層の住宅ローンに偏重した事業展開が行われていたのである。

 AIGの住宅ローン保証部門である米ユナイテッド・ギャランティー(本社:ノースカロライナ州グリーンズボロ)は昨年来、巨額の損失を計上している。2008年初頭には、デリバティブ取引でも巨額の損失発生が明らかとなった。

 そんな中、AIG監査法人である米プライスウォーターハウスクーパースから、デリバティブ取引の評価に関する会計処理方法を変更するよう指摘を受けた。これがグラディエントのビッカリー氏の目に留まり、AIGの利益の実情に疑問を持つきっかけとなる。同氏は米証券取引委員会(SEC)への申告書類を時系列で調査し、デリバティブ取引の累積評価損が、2007年9月30日時点の3億5200万ドルから2007年11月30日には59億6400万ドルまで増加していることを突き止めた。

 AIGは、カリスマ的存在だったハンク・グリーンバーグ前CEO(最高経営責任者)を辞任に追い込んだ不正会計問題で、そのとき既に大きな打撃を受けていた。そのうえさらに、深刻化する住宅ローン危機による損失の規模に多くのアナリストが疑念を抱くようになり、経営の健全性に厳しい目が向けられることとなった。


本業以外の部門売却の憶測

 春になるとAIGの株価は下落を続け、6月には批判が一層厳しくなっていく。その頃、元社外取締役のイーライ・ブロード氏、さらにほかに2人の著名投資家、米資産運用会社デービス・セレクテッド・アドバイザーズのシェルビー・デービス氏と米資産運用大手レッグ・メーソン(LM)のビル・ミラー氏が、マーティン・サリバンCEOの解任を求める書簡を送る一方、調査委員会が新たなCEOを指名。今なおAIGの大株主であるグリーンバーグ氏も、経営陣を批判する書簡を送っている。

 6月、AIGの取締役会長ロバート・ウィルムスタッド氏がCEOに任命された。同氏は、かつてシティグループ(C)の幹部も務めた人物である。

 8月には2008年第2四半期決算を発表、デリバティブ取引の評価損は累積で250億ドルに達した。これを受け、AIGは解体を余儀なくされるとの憶測も出始めた。あるいは、5月に実施した200億ドルの資本増強に加え、少なくとも資産の一部を売却して資金調達することが必要になる恐れが噂されるようになった。

 損害保険事業の営業利益が54%の減益となるなど、中核の保険業務の一部においても低迷が明らかになると、保険業以外の事業部門が売却されるとの見方が広がり始めた。AIG傘下の航空機リース会社、米インターナショナル・リース・ファイナンスは、しばしば売却候補として名が挙がる。同じく傘下の消費者金融部門、米アメリカン・ジェネラル・ファイナンス(総資産約290億ドル)も、部門売却の可能性が取り沙汰されている。

 今のところAIGの経営陣から事業再建計画の発表はない。外部からの資本注入の可能性の模索はまだ続いている(編集部注:9月16日、米政府・FRBから救済策が発表された)。世界有数の大企業であるAIGの先行きの不透明感が払拭されないため、投資家心理も冷え込んだままだ。AIGの混乱は収束に向かっているのか、あるいは最悪の事態はまだこれから訪れるのか、誰も確信を持てずにいる。

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