読売新聞「交通死亡事故で猶予判決、「実刑」望む遺族の意見を入れず」

 東京都内の交差点で昨年8月、オートバイの男性(当時34歳)をトラックではねて死亡させたとして、自動車運転過失致死罪に問われたトラック運転手・海野尚康被告(66)の判決が20日、東京地裁であり、小池勝雅裁判長は禁固1年6月、執行猶予5年(求刑・禁固1年6月)の有罪判決を言い渡した。

 この裁判は、犯罪被害者や遺族が被告に質問などができる「被害者参加制度」が適用され、全国で最初に公判が開かれた。男性の妻(34)は求刑の意見として実刑判決を求めていた。

 判決は、「被告には事故を真摯(しんし)に反省しているか疑問だと指摘されてもやむを得ない面が多々みられ、遺族が深く傷つき、憤りを募らせるのももっともだ」と述べたうえで、無謀運転による事故ではなく、被告が非を認めていることなどから、「実刑は重すぎる」と判断した。

 小池裁判長は判決後、遺族の方を向いて「被告に誠意がないと思う気持ちは十分理解できる。自動車運転過失致死罪の刑が軽すぎるという指摘について十分検討したが、無謀運転の場合と一線を画すことはやむを得ない」と述べた。被告に対しては、「あなたなりに被害者を弔う方法を考えてほしい」と説諭した。