米国は深刻な「内戦」状態にある。

 米国の銃規制反対組織の「全米ライフル協会」のスローガンは「人を殺すのは人であって銃ではない」 。

バージニア州ブラックスバーグにあるバージニア工科大学で16日、乱射事件が発生し、容疑者の男を含む33人が死亡した。チャールズ・スティーガ学長が明らかにした。米国の学校構内で起きた発砲事件では過去最悪のものになった。大学構内の警備担当責任者によると、16日朝、構内の一角で最初の銃撃があったが、単一の事件で終わると思い、大学の閉鎖はしなかったという。しかしその後、連続して銃撃が起きた。負傷者は15人。銃撃を受けるか、建物から飛び降るなどして負傷した。容疑者の男は自殺したという。
 学長によると、身分証明書などを携行していなかったため犯人の身元は不明。警備担当責任者は「容疑者は男だけとしか言えない」と述べた。学生らがCNNに語ったところによると、過去数週間に、大学に爆弾を仕掛けるという脅迫が数回あったという。 米国土安全保障省の報道官はこの乱射事件について、今のところテロの兆候はないが、その可能性も含めて捜査すると述べた。

 

学生会副会長のサラ・サクストンさん(22)は「ここの生徒や教員は家族のようにつながりが深い。安全な場所で鍵をかけない人も多いのに、こんな事件が怒るなんて」と驚きを隠せなかった。銃規制に賛成だというサクストンさんは「今回の事件で規制が強化されないなら、一体何が必要なのか」と語気を強めた。

 

ブッシュ大統領は「きょう、私たちの国は衝撃と悲しみに襲われた。学校は安全で保護された学問の場所だ。その聖域が侵されたとき、影響は全米の教室や地域社会に及ぶ」と述べ、衝撃の大きさを強調した。

 ●イラク戦争にのめりこむ前に国内ですることがあるのでは?

ノリスホールで銃撃がおきる2時間前に、同じ構内の寄宿舎で銃撃がおきていた。しかし、学生に警戒を呼びかける電子メールが届いたのは9時半ごろだった。すでにそのときにはノリスホールで銃撃が始まっていた。

 学生の1人ジェイソン・ピアッティさんはCNNテレビに対し、「今日おきたことはとんでもないことだ。(大学側が)電子メールを送信している間に20人以上が殺された」と大学側の対応を批判した。

 大学側は犯人が寄宿舎での銃撃後、大学から出たと思い、構内を封鎖をしなかったと説明した。チャールズ・シュテーガー学長は「別の事件がおきるとは思いもよらなかった」と語った。

米国では1999年にコロラド州コロンバイン高校で発生した銃乱射事件で13人が死亡した後、学校内に警察官を駐在させるなど対策を講じてきたが、未成年者でも銃を入手できる現実を前に、事件の再発を防げていない。動機については、学校や教師への恨みやいじめ、愉快犯などが指摘されている。だが、相次ぐ銃乱射事件にもかかわらず、銃規制や銃犯罪予防に向けた法制化は進んでいない。

19日続報

バージニア州ブラックスバーグ──米バージニア州バージニア工科大学の銃乱射事件で自殺した同大学4年のチョ・スンヒ容疑者(23)が、犯行当日の16日、NBCニュースに自身のビデオ声明を郵送していたことが、18日分かった。チョ容疑者の小包は、ウェスト・アンブラー・ジョンストン・ホール寮での事件と、教室棟ノリス・ホールの事件の合間にあたる16日午前9時1分に投かんされていた。
 NBCは18日夜、チョ容疑者のビデオ声明を放送した。同容疑者はこの中で、「(事件を)逃れる可能性と方法は1千億もあったのに、お前はおれの血を流すことを決めた。お前がおれを追い詰め、こうするしかないように仕向けた。決めたのはお前だ。今やお前の手は、洗い落とすことができない血に染まっている」などと語っている。放送された別のビデオでは、同容疑者がカメラに向かって「時が来たので実行した。そうしなければならなかった」と述べている。
 チョ容疑者は事件について語る時に過去形を使っているが、ビデオがいつ録画されたものか不明。MSNBCドットコムによると、ビデオには同容疑者が、8年前のコロンバイン高校銃乱射事件の容疑者に言及しているとみられる部分もある。同容疑者はさらに、具体的に名指しせずに「お前は欲しいものを全て手に入れたが、快楽への要求を満足していない」と富裕層を非難することばを述べている。
 チョ容疑者の小包には、1800語の声明文とビデオファイル27個、複数の写真が入っていた。ビデオは同容疑者が宗教について語り、富裕層への憎悪をあらわにしている内容。また、写真には、拳銃を持ってカメラに銃口を向けたり、銃口を自身の頭部に当てている同容疑者が写っていた。ナイフをのどに当てている写真もあったという。
 小包は16日に翌日到着便で発送されたが、郵便番号に誤りがあったため、2日後の18日に配達された。NBCは小包受領後、捜査当局に通報し、連邦捜査局FBI)に内容物を提出した。バージニア州警察当局の関係者は、事件の捜査上極めて重要な証拠物件となる可能性を指摘している。