ジダン退場の真相を語る 侮辱的発言は暴力と同等

 やはりそうであった。彼は栄光を捨ててでもあの頭突きをする覚悟があった。10日に「ジダンは最後までたたかう人だった 断固支持したい」を書いたときもそう思ったが、他の競技でこんな侮辱がゆるされるだろうか?

 決勝の延長戦後半、ジダン選手はゴール前で激しいマークを続けていたマテラッツィ選手と言葉を交わした後、いったん離れかけたが、再び向かい合って頭突きを見舞った。ジダン選手によると、離れようとした後も同じ言葉(母や姉を傷つけるひどい言葉を繰り返され、耐えきれなかった)を背中に浴びせられ、怒りが爆発したという。

 ジダン選手はまた「20億、30億人が見守る中での私の行為は許されないもので、特にテレビを見ていた子供たちに謝りたい。やっていいこと、悪いことを子どもに教えようとしていた人にも謝る」と語った。一方で「後悔はしていない。後悔すれば彼の言葉を認めることになるから」とも述べた。

 同選手はFIFAの調査に協力するとしたうえで「挑発した側も罰せられるべきだ」と審判の判断に注文。「W杯決勝の、しかもサッカー人生の終了10分前に面白半分にあんなことをすると思いますか」と、自らの怒りに理解を求めた。

 ジダン選手は、反移民を掲げるイタリアの政党幹部が「仏代表は黒人とイスラム教徒、共産主義者で構成されている」と発言したことにも触れ「私の行為より悪質ではないか」と批判した。

 マテラッツィ選手は伊スポーツ紙に、守備のためジダン選手のシャツを数秒間つかんだら「そんなにシャツが欲しけりゃ試合後に交換してやるよ」と見下した態度で言われ、ののしり返したと語っている。ジダン選手は「シャツ発言」を認めたうえで「誰も見下していない」と強調した。

 ジダンは7月9日の決勝戦で対決したイタリアのマテラッツィに頭突きをした行為に関し、「子供たちに謝罪したい。自分の行為は許し難く、行うべきことではない。何をするべきか、するべきでないかを子供たちに教育する人や教育者にも謝罪したい」と述べ、謝罪を表明した。

 そのうえで、暴力行為を挑発したマテラッツィの言葉に関し、「非常に個人的なものだ。母や姉に関する言葉だ。彼はこの非常に激しい言葉を数回、繰り返した。1回聞いたときは、そのまま行こうとしたが、2回、そして3回聞いた」と述べ、執拗な言葉の暴力に耐え難い状況だったことを明らかにした。

 この言葉については「言えない、とても言えない」と述べたが、マテラッツィの言葉を英紙が、「テロリストの娼婦の息子」と唇の動きを読む専門家が解読したが、この通りかと訊かれ、「ま、そうだ」と答えた。

 マテラッツィジダンのユニホームをつかんで離さなかったとき、ジダンが「超傲慢な態度で、欲しかったら試合後にやる」と言ったとの証言に関しては、「自分は傲慢ではない。試合後に必要なら交換しよう」と述べたにすぎないと反論した。

 ジダンはまた、「挑発したものも罰されるべきだ」と述べ、マテラッツィにも何らかの処分があるべきだとの見方を示した。