W杯に向かう姿勢にいい兆候

前回の日韓ワールドカップではフィリップ・トルシエ監督の独断専行で選手はロボットだったように思える。特に、ベスト16のトルコ戦は不可思議なゲームだった。今回は、自分たちが終了したときに例え負けても納得できる試合にしてほしい。

サッカー日本代表>紅白戦 最終ラインで意見に相違
2006年5月29日(月) 毎日新聞

 W杯を目前にして、日本代表が懸命に答えを探し求めている。テーマは「ボールを奪う位置」だ。自陣に下がってもしっかりと11人のブロックを作って奪いたい守備陣と、より相手ゴールに近い位置で奪って果敢に攻めにつなげたい攻撃陣の意見に隔たりがある。
 28日の紅白戦では控え組に展開力のある選手が多く、中盤でボールを回された。W杯でも想定できる場面だ。すると、DFラインは裏のスペースを突かれることを警戒して自陣まで下がった。ジーコ・ジャパンは、11人がコンパクトに守ることが約束である。おのずと、チーム全体が自陣に引かざるを得ない。こうなると、ゴール前で相手をはね返すことはできても、攻めるには相手ゴールが遠い。
 この状況が続き、中田英ボルトン)が試合を止め、宮本(ガ大阪)、福西(磐田)らと話し合う場面があった。中村セルティック)は「ヒデさん(中田英)としては『最終ラインを下げすぎだ』という意見だった」と解説する。攻撃陣は最終ラインを押し上げて、ボールを相手ゴールに近い位置で奪取して、攻撃を仕掛けたいと感じる。得点を奪えなければ試合には勝てないという考えだ。
 一方、宮本は「各国の親善試合を見ても、最終ラインを高い位置まで押し上げているところは少ない」とリスク管理を重んじる。福西は「それぞれの意見は違うが、まとまりある決断をしなければならない」と話す。
 ジーコ監督が「勝負は5月」と繰り返したように、海外組もそろった合宿は今年に入って、これが2度目。短期間で急ピッチに仕上げなければならない。話し合いは決して対立ではなく、W杯で強豪に立ち向かうために必要なプロセスである。

  福西選手



紅白戦で課題見付かる=チーム内に意識のずれ−サッカー日本代表〔W杯関連〕

 【ボン(ドイツ28日時事】サッカーのワールドカップ(W杯)ドイツ大会に臨む日本代表は5月28日、当地のSSFボン競技場で練習し、主力と控えに分かれて行った45分1本の紅白戦では、主力組が柳沢(鹿島)のゴールで1−0で勝った。
 3−5−2の布陣で臨んだ主力組。控え組に押し込まれる時間帯もあったが、決定的な場面はつくらせなかった。ただ、その中でも新たな課題は見付かったようだ。
 トップ下の中村(セルティック)が指摘したのは、最終ラインの位置。「相手にボールを回されている時、ラインが低過ぎる。中盤との距離が空き過ぎ」。だが、DF宮本(G大阪)は「1試合を通じて深い位置で守備をしたくはないが、中央付近でずっと守れるわけはない」と話した。攻撃陣とDF陣には意識のずれがあった。
 相手のボールをどの位置で奪いにいくのか、という点もあいまいだった。30日(日本時間31日)にはレーバークーゼンでドイツ代表と強化試合に臨む日本。チームの意見をすり合わせていくことが求められている。 

■国際親善試合(1) 日時:2006年5月30日(火)現地時間20時30分キックオフ(日本時間 27時30分) 対戦:日本代表 VS ドイツ代表 会場:ドイツ・レーバークーゼン バイアレナ(BayArena) テレビ放送:テレビ朝日系列にて全国生中継