キリスト教徒じゃないからよくわからない ダ・ヴィンチ・コード

 

映画版「ダ・ヴィンチ・コード」、プレミア前に抗議広がる
2006.05.17Web posted at: 13:00 JST- CNN/AP

フランス、カンヌ──ダン・ブラウンの世界的ベストセラーの映画化「ダ・ヴィンチ・コード」(ロン・ハワード監督)は17日、カンヌ国際映画祭でプレミア上映される。こうしたなか、世界各国のキリスト教団体は、同作品の上映中止や上映期間短縮を求める抗議行動を展開中だ。

 韓国ではプロテスタント団体が裁判所に上映差し止めを請求したが、裁判所は「原作や映画がフィクションであることは明らかであり、映画鑑賞者が内容を事実であると誤解する可能性はない」として請求を棄却した。団体は裁判所の決定を尊重するとしたうえで、映画版をボイコットする方針を明らかにした。

 タイのキリスト教団体は検閲当局に対し、ラスト15分間のカットやキリストの冒とくにあたると思われる字幕の修正、フィクションであるとのメッセージを上映前後に明示することを求めた。当局はまだ回答していない。

 インド政府は抗議を受けて、同作品の上映を暫定的に見合わせる方針を決定。その一方でカトリック団体の幹部が上映禁止を求め、ムンバイでハンガーストライキを開始した。参加者は増える見通しという。

 ギリシャの首都アテネではギリシャ正教の関係者らを含む200人が、十字架やギリシャ国旗を掲げて議会までのデモ行進を実施。関係者は、原作の内容が「下劣」だと批判するとともに、預言者ムハンマドの風刺画1つで抗議行動を起こしたイスラム教徒にならい、キリスト教徒も立ち上がるべきだとの考えを示した。正教は映画の内容について「ばかばかしい」とコメントしているが、ボイコットを呼びかけるには至らなかった。

 フィリピン当局は同作品を青少年が見られらない区分に指定したが、「カトリックに対する明らか、もしくは直接的な攻撃は含まれておらず、個人の名誉を傷つける内容もない」との理由で、X指定を避けた。検閲当局者はAP通信に対し、カトリック信徒が大多数を占める同国で、多くの人々が同作品によって「信仰を試される」とコメント。また、「上映禁止を求める保守層などのグループが、映画を見ないよう呼びかける可能性はあるが、上映を認めなければわが国は唯一の上映禁止国になる。世界36カ国が既に上映を決めているなか、わが国が古臭い措置を取るわけにはいかない」と述べた。

 シンガポールキリスト教団体は上映禁止を求める一方、映画や原作への反論を試みる講座を開催する。検閲当局は、大人以外に事実とフィクションの区別は難しいとの判断から、映画版をNC16(16歳未満鑑賞禁止)に指定した。

 このほか、物語に悪役として登場する白皮症の男の描写について、米患者団体が反発を表明した。