9・11総選挙 郵政改革なんか古い もっと改革すること沢山あるぞ


政府のリストラは十分か・総選挙マニフェストの陥穽(9/5)」鈴置 高史 日経編集委員

民間や地方への「移転」で解決はしない

 小泉首相は「民間でできることを政府がやる必要はない」としばしば強調し、自らが「改革派」であることをアピールする。だが、この論理には陥穽(かんせい)がある。あくまで「いま、政府が行っている事業は必要である」との前提に立っているからだ。政府の事業を地方に移譲しようが政府系子会社に移そうが、あるいはそれを民営企業と呼ぼうが、「本当にそんな業務が必要か」という根っこのところを見直さない限り、真のリストラにはならない。それは民間で言うところの債務の子会社への「飛ばし」に等しい。

 野党の民主党は「公務員の人件費2割削減」をうたう。だが、一人あたりの給料を2割削減したとしても、その役人が依然として「不要な予算」を使い続ける限り、真のリストラにはならない。2割の役人をリストラしても、残りの役人がそれまで同様に「不要な予算」を使い続ければ、これまた同じ結果だ。

 要は、歳出の項目をひとつずつ見直し、「やってもやらなくても同じ」ことはすべて止め、「やっても少ししか効果のないこと」も順位をつけてやめていくしかない。つまり、「役人への給料を含め、いま使われている予算が効果がある」という虚構を突き崩すしか日本が助かる道はない。

 ただ、その実現は難しいだろう。公務員は効果を過大に説明するし、そのウソを見抜く能力は民間には乏しいからだ。その際は、逆に日本の財政赤字の解消のメドがたつまで、税金を使いたがる公務員の生首を切り続けるしかないことになる。