7月15日(金) 週末に読書をしよう


第133回芥川賞直木賞日本文学振興会主催)の選考委員会が7月14日、東京・築地の新喜楽で開かれ、芥川龍之介賞中村文則(ふみのり)さん(27)の「土の中の子供」(新潮4月号)が、直木三十五賞朱川湊人(しゅかわ・みなと)さん(42)の「花まんま」(文芸春秋)が選ばれた。

 芥川龍之介賞候補作は伊藤たかみ(34)「無花果カレーライス」(文芸夏号)、楠見朋彦(32)「小鳥の母」(文学界6月号)、栗田有起(ゆき)(33)「マルコの夢」(すばる5月号)、中島たい子(35)「この人と結婚するかも」(同6月号)、中村文則(27)「土の中の子供」(新潮4月号)、樋口直哉(24)「さよなら アメリカ」(群像6月号)、松井雪子(38)「恋蜘蛛」(文学界6月号)。

 直木三十五賞候補作は、絲山(いとやま)秋子(38)「逃亡くそたわけ」(中央公論新社)、恩田陸(40)「ユージニア」(角川書店)、朱川(しゅかわ)湊人(みなと)(42)「花まんま」(文芸春秋)、古川日出男(39)「ベルカ、吠えないのか?」(同)、三浦しをん(28)「むかしのはなし」(幻冬舎)、三崎亜記(34)「となり町戦争」(集英社)、森絵都(37)「いつかパラソルの下で」(角川書店)=年齢は選考日当日現在=の7作。

遮光

遮光

花まんま

花まんま

 芥川賞の中村さんは愛知県生まれ。福島大卒。02年、「
」で新潮新人賞を受けてデビュー。同作品と、野間文芸新人賞を受けた03年の「遮光」で芥川賞候補になった。同県東海市在住。受賞作(土の中の子供)は、幼少時に育ての親の虐待で土中に埋められたタクシー運転手が主人公。成長してからも死への欲求がやまない生活を、同じような境遇にある女性とのかかわりとともに描いていく。 中村さんは会見で「予想していなかったのでたいへん驚いている。自分なりにいいものができたと思っていたが、まさか芥川賞をいただけるとは」と語った。

 直木賞の朱川さんは大阪府生まれ。慶応大卒。02年の「フクロウ男」がオール読物推理小説新人賞を受賞。03年、「白い部屋で月の歌を (角川ホラー文庫)」で日本ホラー小説大賞短編賞。同年の「都市伝説セピア」が直木賞候補になった。東京都足立区在住。 受賞作は大阪の路地裏を舞台に、怪奇色をにじませながら子どもたちの心を丁寧に描く短編集。朱川さんは会見で「最初の本が出て2年ちょっと。こんなに大きな賞をもらい、頭の中が真っ白です。妻も子も喜んでいると思う」と語った。