87分署シリーズ作家 エド・マクベイン氏死去

2005年07月08日アサヒ・コム

 AP通信によると、警察小説の新たな形を確立した「87分署」シリーズで知られる米国の作家エド・マクベイン(本名エバン・ハンター)さんが6日、米コネティカット州ウェストンで喉頭(こうとう)がんのため死去した。78歳だった。

 56年の「警官嫌い」に始まった87分署シリーズは、50冊以上に及ぶ。ニューヨークをモデルにした架空の都市で起きる犯罪に取り組む87分署の警察官たちの捜査を人情味あふれる筆致で生き生きと描いた。警察小説やテレビの刑事もの、海外の作家にも大きな影響を与え、「キングの身代金」は黒沢明監督の「天国と地獄 [VHS] 」の原作になった。アルフレッド・ヒチコック監督の「鳥 [DVD]」の脚本を書いたことでも知られる。

歌姫 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

歌姫 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

追記=毎日新聞より引用。

 ニューヨーク生まれ。海軍勤務後、教師などを経て執筆活動に専念。科学小説やサスペンスなど、筆名を変えて執筆。1954年、教師経験を基に高校生の非行を描いた「暴力教室 (ハヤカワ文庫 NV ハ 12-1)」で一躍人気作家となった。56年、エド・マクベインの筆名で「87分署」シリーズの第1作「警官嫌い (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 13‐1))」を発表。従来の探偵小説とは異なり、社会や警察組織をリアルに描写しつつ刑事たちが近代捜査で事件を解決する推理小説の新たな型を作り上げた。ほかに「ホープ弁護士」「酔いどれ探偵カート・キャノン」シリーズなど。「キングの身代金 (ハヤカワ・ミステリ文庫 13-11)」は、黒沢明監督の映画「天国と地獄」の原作となった。また、アルフレッド・ヒチコック監督の「鳥」の脚本も担当した。86年に米探偵作家クラブ賞の巨匠賞を受賞している。

 早川書房によると、マクベイン作品の翻訳本は100作以上出版されており、うち「87分署シリーズ」は53作。年内に54作目が出版される予定だという。