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集合日の本読み
【341号 2007年9月28日発行】

 ず〜いぶん昔のガイド記事「集合日って何する日?」でも少しお話しましたが、集合日には「本読み」というものが行われます。

本読みとは……文字通り、本を読む。読む本は……もちろん台本。

台本を渡されるのは、基本的には集合日当日。それをその場で初めて読むわけです。

本読みでは、さら〜っと読めばいいのだけれど、何しろ初見だから、読み方がわからなかったり、読み間違えもよくあります。

例えば……
「あちらの方へ」というセリフ。
「あちらの“ほう”へ」なのか「あちらの“かた”へ」なのか…?

場面ごとの稽古に入り、動きも付いていればわかりますけど、この本読みの段階じゃわかりません。

セリフの中には、漢字検定1級クラスレベルの難し〜い漢字も出てきます。
ルビが振ってある場合もあるけれど、そうじゃない場合の方が多い。そんな時は「………」と詰まってしまう…

いずれにしろ、わからない時は演出の先生が教えてくれます。

わからない……ならまだいい。
自信満々に読み間違えをすると、これが恥ずかしい。それが、ものすごく大きな声でしっかりと読んだ時なんて、最悪…。

稽古場は大爆笑。演出家の先生は「お前なぁ〜」みたいなお顔でニヤニヤ。みんなの記憶にはしばらく残っていて、後々まで言われてしまう。

だけど、場が和むことは確かかな。

本読みに慣れていない下級生にとって本読みは、かなり緊張します。「これが初台詞」なんて特にね。

読んだ瞬間、前の方に座っている上級生が、「今の、誰?」みたいな感じで、がばっと振り向きますから。
なのでココは一発、びしっと決めたいもんです。

本読みというのは、セリフを順番に読んで行き、全員が、その芝居の流れを感じるもの。
つまり、読むだけではなく、台本を目で追いながら聞くことも必要。

だから、全員が同じページを聞いているのが普通なのでしょうけど、やっぱり自分のセリフが気になるもんです。

自分のセリフのある場面がどんな場面かを何となく確認したい。
前後のセリフを何となく確認したい。
つまらないで読みたい。
わからない漢字があるかどうかチェックしたい。

いきなりではなく、事前に心の中で読んでおきたいわけです。

だから……あちこちで、ページをパラパラ…
つまり……ちゃんと聞いていないわけだ。

で、自分のセリフのチェックが終わったら、隣の人に…「今、どこ?」…なんてね。

でも、セリフの多い生徒は、それができません。いつ、自分のセリフが来るかわかりませんから。ただただ、順を追って読むしかない。

なので下級生の方が、つまらず間違えず読めたりするもんです。

 昨日は星組『エル・アルコン―鷹―』『レビュー・オルキス―蘭の星―』(2007年11月2日(金)〜12月15日(土)宝塚大劇場公演)の集合日。
本読みで、面白い(?)ハプニングがあったかどうかは知りませんけど、退団者発表の寂しさと、新しい作品に取りかかるスタート時のワクワクした楽しみをきっと感じたことでしょう。